笑・咲・嗤(読み)わらう

精選版 日本国語大辞典 「笑・咲・嗤」の意味・読み・例文・類語

わら・う わらふ【笑・咲・嗤】

[1] 〘自ワ五(ハ四)〙
① 喜びやおかしさなどの心情を、声または顔の表情で表出する。おかしがって顔をくずし声をたてる。哄笑(こうしょう)する。えむ。
※新訳華厳経音義私記(794)「微笑 下音焼 訓和良布」
※竹取(9C末‐10C初)「これを聞て、はなれ給ひしもとの上ははらをきりてわらひ給ふ」
源平盛衰記(14C前)二六「二三十人が音して拍子をとり喚叫。はと笑(ワラヒ)、どと笑など」
② つぼみが開く。花が咲く。えむ。
※俳諧・綾錦(1732)上「はら筋をよりてや笑ふ糸ざくら」
果実が熟して裂け開く。えむ。
※俳諧・俳諧新選(1773)三「ほつごんと笑ふて栗の落にけり〈沙龍〉」
④ 春になって、芽が出たり、花が咲いたりして景色が明るく見える。→笑う山
⑤ 縫い目が解ける。ほころびる。→わらいかける③。
⑥ (「膝がわらう」の形で) (膝の)力が抜けて、がくがくする。
⑦ (「笑っちゃう」の形で) あまりひどくて、問題にならないように見える。笑わせる。
[2] 〘他ワ五(ハ四)〙 あざける。ばかにして声をたてたり、顔をくずしたりする。嘲笑する。あざわらう。
書紀(720)継体元年正月(前田本訓)「汝若し、使を遣して来り告ぐること無からましかば殆に天の下に取嗤(ワラハ)れなまし」
※大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)七「其の工(たく)み不ることを哂(ワラ)ひたまひて」
日本思想(1961)〈丸山真男〉二「これら文学者のマルクス主義理解の皮相さをわらうのはたやすい」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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