立上(読み)たちあがる

精選版 日本国語大辞典 「立上」の意味・読み・例文・類語

たち‐あが・る【立上】

〘自ラ五(四)〙
① すわったりしゃがんだりしていた姿勢からからだを起こしてまっすぐに立つ。身を起こす。起立する。
源氏(1001‐14頃)葵「おとどはえたちあがり給はず」
② 上の方へあがる。上の方に向かって立つ。もりあがる。また、さかだつ。
※枕(10C終)二一八「ただいみじう、うるはしき髪持たらむ人も、みなたちあがりぬべきここちすれ」
平家(13C前)六「流星なんどの如くに、ほのほ空へたちあがり」
③ たちまさる。すぐれる。また、いかにも立派である。
※葉隠(1716頃)一「忠の義のと云、立上りたる理屈が返々いや也」
※花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉下「身形(みなり)も立派になれば気量までも自づと立ちあがり」
相撲で、仕切りが終わって力士がからだを起こす。
※今弁慶(1891)〈江見水蔭〉一〇「行司が引く軍扇と共に、勢ひよく立上(タチアガ)って心地よく取組しが」
⑤ 行動を開始する。ことをやりはじめる。
※ぎやどぺかどる(1599)上「去ば我等が悪より善に立揚り」
勢いをもりかえす。うちひしがれていたものが元気をとりもどす。
⑦ 世の中に身をたてる。立身出世する。
※別れ霜(1892)〈樋口一葉〉二「時のまにたち上(アガ)りし身代なりしが」
機械が動き始める。また、コンピュータプログラムが起動する。

たち‐あがり【立上】

〘名〙
① 立ち上がること。
② 相撲で、仕切ってから、からだを起こすこと。
※相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉現代人気力士評判記其の二「機敏な錦は立上りに素早く左を差し」
③ 動作のしはじめ。また、行動を開始すること。
松川裁判について(1958)〈広津和郎〉「国鉄労組の首切り反対闘争の立上りが又しても押えつけられてしまいました」
④ 勢いをもりかえすこと。
※傷はまだ癒えていない(1958)〈中野好夫〉狐につままれたような再生「物質生活面に関するかぎり、表面的には予想もできなかった立上りを見せた」
⑤ その道での初心者。それをはじめて、まだ間のない人。
※怪化百物語(1875)〈高畠藍泉〉上「お酌の少女(タチアガリ)がおぼこだおぼこだとおもってゐるうちに」
⑥ 建築で、材が水平面斜面から垂直に上ってゆく部分。また、その寸法

たち‐あげ【立上】

〘名〙
① 江戸時代、和船の筒を挟んで立つ二本の帆柱の受け材。たてあげ。たてあま。〔改新造積り書(1838)〕
② 沓(くつ)の部分の名。足首から上、脛(はぎ)をおおう。
上井覚兼日記‐心得書(1581)「裘の袖を片敷、鉄放の薬袋を枕とし、前垂・たちあけ・ひつ敷などをしとねとし」
③ 機械を起動すること。
④ 新しい企画などをはじめること。

たち‐のぼ・る【立上】

〘自ラ五(四)〙
① 高く上へあがる。雲や煙などが空へ高くあがる。
※竹取(9C末‐10C初)「そのけぶりいまだ雲のなかへ立のぼると」
② 地位が上がる。昇進する。
※随筆・相撲今昔物語(1785)六「二人共上四五枚目まで立登るとなり」

たち‐あ・げる【立上】

〘他ガ下一〙
① 機械を稼動させる。特に、コンピュータを起動して、アプリケーションを操作できる状態にする。「パソコンを立ち上げる」
② 新しい企画、作業などをはじめる。「新しい辞書の企画を立ち上げる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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