突上・築上(読み)つきあげる

精選版 日本国語大辞典 「突上・築上」の意味・読み・例文・類語

つき‐あ・げる【突上・築上】

[1] 〘他ガ下一〙 つきあ・ぐ 〘他ガ下二〙
[一] (突上)
① 下の方から突いて上の方に上げる。突いて押し上げる。
※玉葉‐仁安二年(1167)二月一一日「摂政叙一位、即拝賀云々、是被突上
※浮世草子・好色五人女(1686)二「枕にちかき窓蓋をつきあけ」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一〇「握り拳を〈略〉天井に向けて突きあげた」
下位の者が自分の考えなどを通そうとして上位の者に圧力をかける。
[二] (築上) 土や石などを積んで構造物をつくる。きずきあげる。
※屋代本平家(13C前)五「咸陽宮と申は〈略〉内裏をは地上三里高ふ築(ツキ)あけてそ建たりける」
※浄瑠璃・国性爺合戦(1715)三「しゃちほこ天にひれふりてせきるい高くつき上たり」
[2] 〘自ガ下一〙 吐き気や押えきれない感情が胸一杯になる。こみ上げる。
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉後「何と無く悲が亢進(ツキアゲ)る」

つき‐あげ【突上・築上】

〘名〙
[一] (突上)
① 突き上げること。
② 窓などが下から棒で突き上げてあけるようになっていること。また、その窓。
南方録(17C後)墨引「初座簾をはづし、つき上げをあげ、花をいけなどすることあり」
③ 取引市場で、相場が急に上がること。〔現代大辞典(1922)〕
④ (突き上げたように書く意) 歌舞伎や寄席などで、役者・芸人のトメ首位)、カキダシ(花形)、ナカジク(中軸)の順位のつけがたい三人の名を連記する時、その中の首位の名を中央にして左右よりすこし高く書くことをいう語。
※寄席風俗‐夏柳落語往来(1926)〈正岡容〉寄席の行灯「これは、ツキアゲと称して〈略〉佳き地位の落語家だといふのを示すことになる」
⑤ 下位の者が自分の考えなどを通そうとして、上位の者にはたらきかける圧力。
※白く塗りたる墓(1970)〈高橋和巳〉一一「青年部側の、執行部に対する突き上げと不信任
[二] (築上) きずき上げること。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android