福智(町)(読み)ふくち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「福智(町)」の意味・わかりやすい解説

福智(町)
ふくち

福岡県中北部、田川郡にある町。2006年(平成18)、田川郡金田町(かなだまち)、赤池町方城町(ほうじょうまち)が合併して成立。町名は北部にそびえる福智山に由来し、一般公募による。町域を中元寺(ちゅうがんじ)川などを合わせた彦山川(ひこさんがわ)が貫流し、流域に沃土が広がる。彦山川の左岸沿いに平成筑豊鉄道伊田線(へいせいちくほうてつどういたせん)が南北に走り、金田駅で糸田線(いとだせん)が分かれる。石炭採掘の歴史が古く、19世紀中頃には小倉藩が赤池に石炭会所を設けていた。明治中期以降、赤池炭鉱をはじめ、金田炭鉱、方城炭鉱などが開発されて発展したが、1950~1960年代にすべて閉山。一時人口流出が目だったが、工業団地やニュータウン造成により回復。北九州市への通勤圏内にある。米作のほか、ブランドの赤池梨やイチゴ、イチジクなどの果樹蔬菜(そさい)栽培が盛ん。標高901メートルの福智山山頂一帯は北九州国定公園に指定される。南西麓にあたる上野峡(あがのきょう)の一帯には、白糸ノ滝、樹齢600年を超えるエドヒガン「虎尾桜」などの見所があり、近くには小倉藩御用窯の伝統をもつ上野焼(国の伝統的工芸品)の窯元が点在。『かもめの水平さん』などで知られる童謡作曲家河村光陽(かわむらこうよう)の出身地。藤寺(ふじでら)ともよばれる定禅寺(じょうぜんじ)境内には樹齢500年以上といわれるフジ巨木「迎接(こうじょう)の藤」があり、県指定天然記念物。面積42.06平方キロメートル、人口2万1398(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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