福山沖之口役所跡(読み)ふくやまおきのくちやくしよあと

日本歴史地名大系 「福山沖之口役所跡」の解説

福山沖之口役所跡
ふくやまおきのくちやくしよあと

[現在地名]松前郡松前町字松城

小松前こまつまえ川河口(小松前澗)左岸にあった松前藩の役所。沖之口番所ともよばれた。宝暦年間(一七五一―六四)に描かれた松前屏風によると福山城の真下、小松前浜にあり、松前自沖口至奉行所図(内閣文庫蔵)には建物が描かれている。

松前藩の財政はアイヌとの交易の独占権と他国から来る商船に対する課税権の二つからなっていた。松前での沖の口改業務は、永正一一年(一五一四)蠣崎氏上ノ国から大館おおだてに移った際「役取人」(新羅之記録)を置き、渡来する商船・旅人から役金を徴収したことに始まるとされる。藩成立当初から沖の口取締は重要な業務の一つであった。役所を専任で管掌する役職として奉行が置かれた。設置年代は不詳であるものの、すでに寛永七年(一六三〇)には下国舎人が奉行職に就いている(「福山海口廨年表略稿」道立文書館蔵旧記)。元禄四年(一六九一)の覚(福山秘府)によると、沖の口奉行の主要な任務は沖の口における出入りの人物・船舶の取締で、役金の徴収は寺社町奉行の権限であったと考えられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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