デジタル大辞泉
「着到」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ちゃく‐とう ‥タウ【着到】
〘名〙
① (━する) 目的の場所にいたりつくこと。急いでやってきてつくこと。到着。
※延喜式(927)一九「五位以上就レ版且命二職掌一。六位以下著二到於省掌所一。史生且依二著到一。分二配職掌一」
② 公武の
政庁で、諸番宿直に出勤した者が氏名を記入する帳簿。出勤簿。
※小右記‐永延二年(988)八月一八日「又、滝口着到、出納
加
二検臨
一、可
レ令
レ封之由有
下被
二定仰
一事
上」
※
平家(13C前)二「
小松殿には、盛国承て着到つけけり」
※
浄瑠璃・国性爺合戦(1715)九仙山「
軍勢の着到一巻取り出し」
※
吾妻鏡‐文治五年(1189)七月二八日「仰
二御家人等面々
一、被
レ注
二手勢
一、仍各進
二其着到
一」
⑥
中世、
出陣の時、馳せ参じた
武将に対して主家の側から武将とその手勢が負担すべき人数・
武具などを明細に記して申し渡す書付。
※豊島・宮城文書‐元亀三年(1572)正月九日・北条氏印判状「改二定着到一之事〈略〉右着到、分国中何も等申付候間、自今以後、此書出之処、聊も不レ可レ有二相違一候」
※
明月記‐建仁元年(1201)八月五日「頭中将新兵衛佐等、於
二和歌所
一可
二著到
一之由相議事」
⑧ (━する) 集会などに参加すること。
※浄瑠璃・佐藤忠信廿日正月(1710頃)中「されども七十有余の
老僧は、かへって足手まとひやと
愚僧はちゃくたうを許されしが」
⑩ 歌舞伎で、毎日開演前に、
座頭の俳優の楽屋入りを合図に、能管・太鼓・大太鼓で打ちこむ囃子。着到しゃぎり。
※腕くらべ(1916‐17)〈永井荷風〉一六「駒代は楽屋で着到の大太鼓が鳴る時分」
[語誌]本来、文字通り①の意を表わしていたものが、院政期頃から、主として②を指すようになり、③④⑤もこれに類するものであるが、さらに⑥の意味をも表わすようになった。②と⑥との意味上の共通点は、「日頃の契約にしたがって参じたことを証明する帳簿」という点にある。この結果、「到着」の語が、代わって①の意味を担うようになったと思われる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の着到の言及
【歌舞伎】より
…〈柝〉は,幕明き,幕切れ,道具替りのきっかけなどを知らせる合図である。同時に,俳優の楽屋入りを告げる〈着到(ちやくとう)〉や,楽屋内に開幕を知らせる〈二丁〉,道具の転換をつなぐ〈ツナギ〉などには定まった打ち方をする。〈柝〉は,観客,俳優その他すべての劇場関係者に対する進行状況の告示を本来の役割とするものである。…
※「着到」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」