真庭(市)(読み)まにわ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「真庭(市)」の意味・わかりやすい解説

真庭(市)
まにわ

岡山県中北部にある市。中国山地のほぼ中央部、旭(あさひ)川の上流域に位置し、その支流である備中(びっちゅう)川、中津井川、河内(こうち)川、目木(めき)川、新庄(しんじょう)川などの流域を含む。北は鳥取県と接し、南は石灰岩台地の上房(じょうぼう)台地、吉備(きび)高原が広がる。2005年(平成17)上房郡北房町(ほくぼうちょう)と、真庭郡の勝山(かつやま)、落合(おちあい)、湯原(ゆばら)、久世(くせ)の各町、および美甘(みかも)、川上(かわかみ)、八束(やつか)、中和(ちゅうか)の各村の5町4村が合併して市制施行。総面積は828.53平方キロメートルで、県の11.6%を占めている。JR姫新(きしん)線、国道181号、313号、482号が通じる。また南部を中国自動車道が横断、それに米子(よなご)自動車道、岡山自動車道が接続する。

 勝山地域は、江戸時代には勝山藩の陣屋町となり、旭川舟運の川湊(かわみなと)として栄えた。古い町並みが残り、県の町並み保存地区に指定されている。久世地域は、『和名抄(わみょうしょう)』の訓世(くぜ)郷で、近世では出雲(いずも)街道の宿場町であった。美甘地域は、古代では美甘郷中世では美甘庄の地で、明治中期まで鉄穴(かんな)流しによる砂鉄採取が行われていた。また湯原地域でも、古くはたたら製鉄が行われていた。北房地域の下呰部(しもあざえ)は、古くから交通の要地であり、中津井には一時陣屋が置かれていた。落合地域の醍醐桜(だいござくら)は後醍醐天皇ゆかりのサクラとして知られている。

 農業が主要産業で、米作花卉(かき)や野菜栽培、酪農などが行われている。林業も盛んで、岡山県産材の主要産地であり、シイタケ栽培もみられる。また市内には、真庭産業団地、落合工業団地などがつくられている。湯原温泉をはじめとする観光資源にも恵まれている。とくに、旧川上、八束、中和3村の地域からなる蒜山(ひるぜん)地域は、蒜山高原や津黒高原が広がり、休暇村蒜山高原やスキー場、温泉などがある。北部は大山隠岐(だいせんおき)国立公園に属する。

 神庭(かんば)の滝(神庭瀑(ばく))は国の名勝、旧遷喬(せんきょう)尋常小学校校舎は国の重要文化財、久世地域のトラフダケの自生地や、市北部の特別天然記念物オオサンショウウオの生息地は国の天然記念物に指定されている。オオサンショウウオの保護センターも設置されている。人口4万2725(2020)。

[編集部]


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