県(あがた)(読み)あがた

日本大百科全書(ニッポニカ) 「県(あがた)」の意味・わかりやすい解説

県(あがた)
あがた

古代、大和(やまと)国家の地方制度。国造(くにのみやつこ)の支配する国よりも、普通は狭い領域をさし、国の下の単位となる地方もあり、県主(あがたぬし)の支配下にあった。県がいつごろ成立したかについては、大和王権が成立した4世紀から5世紀とみる説、および大和王権が、強大な吉備(きび)(岡山県)、大和(奈良県)、筑紫(つくし)などの豪族を打倒した5世紀から6世紀とみる説がある。県は西日本を中心に分布し、東日本には遠江(とおとうみ)(静岡県)、信濃(しなの)(長野県)、武蔵(むさし)(所在地は神奈川県川崎市)などに限られる。とくに多く分布するのは、大和、山城(やましろ)(京都府)、河内(かわち)(大阪府)、吉備、筑紫などで、そのうち大和の六県(むつのあがた)は、高市(たけち)、葛城(かずらき)、十市(とおち)、志貴(しき)、山辺(やまのべ)、添(そう)(曽布)からなり、朝廷の直轄地で「みあがた」とよばれた。

[原島礼二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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