盛上(読み)もりあげる

精選版 日本国語大辞典 「盛上」の意味・読み・例文・類語

もり‐あ・げる【盛上】

〘他ガ下一〙 もりあ・ぐ 〘他ガ下二〙
① 盛って高くする。
名語記(1275)六「もりあげたる形也」
明暗(1916)〈夏目漱石〉六六「塀際の土をわざと高く盛(モ)り上(ア)げて」
② 盛り上がるようにする。勢い気持、あるいは興趣を高める。
半七捕物帳(1923)〈岡本綺堂〉化銀杏「飛んだ掘出しものをして、一身代盛(モ)りあげる積りで〈略〉自慢らしく吹聴してゐたんですが」
巷談本牧亭(1964)〈安藤鶴夫〉女あるじ「あんまり中入り時間長いと、折角、中入りにまで盛り上げてきた芸をきく気分が、ぷつり、中断される」

もり‐あがり【盛上】

〘名〙
① 盛り上がること。また、高く盛り上がった部分
※地平線上の幻想曲(1948)〈佐々木基一〉「そのわずかな水平線上のもり上りを」
② 気持や勢いが高まること。また、劇、小説などの展開の中にあって、一段と興趣が高まること。また、そういう部分。
※漱石・鴎外・竜之介(1954)〈荒正人〉「創作意欲のこのような盛りあがりに加えて」

もり‐あが・る【盛上】

〘自ラ五(四)〙
① 盛ったように高くなる。うずたかくなる。
※俳諧・俳諧新選(1773)一「雪解の盛上がり来る流れかな〈赤羽〉」
② 気持、勢い、あるいは興趣などが高まる。高潮する。
家族会議(1935)〈横光利一〉「闘争心がもり上って来る」

もり‐あげ【盛上】

〘名〙
① 盛り上げること。また、そのもの。
※求める神 語らぬ神(1949)〈中野好夫〉「この作品最後の盛上げともいうべきものに」
② 日本画で、盛り上げ彩色をいう。油絵では、ナイフなどで、絵の具を厚く重ねて塗ること。〔和英語林集成(再版)(1872)〕

もれ‐あが・る【盛上】

〘自ラ五(四)〙 「もりあがる(盛上)」の変化した語。
※或る女(1919)〈有島武郎〉前「海面から浅くもれ上って続いてゐた」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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