生物学的反応修飾物質(読み)せいぶつがくてきはんのうしゅうしょくぶっしつ(英語表記)biological response modifier; BRM

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生物学的反応修飾物質」の意味・わかりやすい解説

生物学的反応修飾物質
せいぶつがくてきはんのうしゅうしょくぶっしつ
biological response modifier; BRM

腫瘍 (しゅよう) 細胞に対する宿主の生物学的反応を修飾することにより,腫瘍に対する治療効果を上げる物質や試みの総称生体には免疫監視機構というシステムが備わっており,体内に癌が発生すると,血液中の細胞がすみやかに反応して癌細胞を排除するように働く。このような腫瘍を排除する反応は抗腫瘍免疫と呼ばれており,これに関係する細胞を免疫担当細胞という。免疫担当細胞には,マクロファージやBリンパ球,Tリンパ球,ナチュラルキラー (NK) 細胞,キラー (K) 細胞,リンフォカインアクチベイテッドキラー (LAK) 細胞などがあり,いずれも骨髄の細胞より分化したもの。これらの抗腫瘍免疫能を増強する薬剤を利用し,癌細胞を排除しようとするのが BRMの考え方である。 BRMに利用される薬剤として,リンパ球などから産生され,さまざまな働きをもつサイトカインや炎症反応に関係の深いプロスタグランジンといった生理活性物質がある。しかし,広く利用されているのは,OK-432などの細菌精製物質やキノコから抽出された PSKなどで,これらは複数の免疫担当細胞を刺激して抗癌作用を強める。また,エイズの治療薬にもなるのではないかと期待され,臨床実験が行われているものもある。最近では,免疫担当細胞のリンパ球を体外へ取出し,癌細胞やサイトカインと一緒に培養したあと,再び体内へ戻す養子免疫療法が行われて治療効果をあげている。

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