琉球国由来記(読み)りゆうきゆうこくゆらいき

日本歴史地名大系 「琉球国由来記」の解説

琉球国由来記
りゆうきゆうこくゆらいき

二一巻

成立 康熙五二年

写本 京都大学附属図書館・鎌倉芳太郎ノート

解説 地誌。首里王府の事業として旧規由来寄奉行向維屏仲里按司朝英、同中取穎徳安糸数親雲上恵秀、向維潘源河親雲上朝忠、向弘業宇久田親雲上朝遇らによって編纂される。巻一は王城之公事で正月元旦の米蒔から一二月の御身葉民御願まで月々の首里城を中心にした儀礼について記し、付けたりとして諸間切から産物を献上する御捧げをあげる。巻二は官爵列品で、官爵位階職之事で摂政から七社祝部までの由来や規模職能などを記す。その他諸御殿ならびに三司官の従官、現存しない官職や御蔵、知行のこと、役知のこと、地方役人のことを記す。巻三・巻四は事始で、貝原益軒の「大和事始」「中華事始」を参考にして、天地門・居処門・衣服門・動植門・飲食門・財器門・典制門・文教門・人事門・礼楽門・伎術門・宝貨門・釈門・遊戯門・生類門に分け一六七項目について由来・来歴を記す。巻五は城中御嶽併首里中御嶽年中祭祀で、正殿二階、城内十嶽、聞得大君御殿、首里三平等の三殿内の祭祀を記す。巻六が国廟・玉陵、巻七が泊村由来記、巻八が那覇由来記、巻九が唐栄旧記全集、巻一〇が禅宗寺院を中心にした諸寺旧記、巻一一が真言寺院を中心にした密門諸寺縁起、巻一二から二一までは各所祭祀で、琉球全域の御嶽と年中祭祀(島中祭祀)を間切・島ごとに記す。

活字本 琉球史料叢書一・二、「定本琉球国由来記」(一九九七年、角川書店)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「琉球国由来記」の意味・わかりやすい解説

琉球国由来記
りゅうきゅうこくゆらいき

1713年(正徳3)、中山(ちゅうざん)王府により編集された琉球の地誌。全21巻。上下二編に分かれる。琉球各地に歴史、祭祀(さいし)などに関する資料収集命令が出され、旧記座という役所を設置し、整理編集が行われた。王府レベルの年中行事から官職の次第、諸事の事始め、寺社の縁起、各地方の祭祀に至るあらゆる事象が取り扱われている。とくに、本書大半の紙数を費やしている各処祭祀は、宗教民俗の研究にとって貴重な記録となっている。1731年(享保16)には、本書に若干の補訂を加え、漢文に書き改めた『琉球国旧記』(本巻9、附巻11)も編集されている。この二書により琉球の宗教、民俗の全体像をつかむことができる。

[高良倉吉]

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