猪苗代(町)(読み)いなわしろ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「猪苗代(町)」の意味・わかりやすい解説

猪苗代(町)
いなわしろ

福島県中北部、耶麻郡(やまぐん)にある町。猪苗代湖北岸に位置する。1889年(明治22)町制施行。1941年(昭和16)磐瀬(いわせ)、磐保(いわほ)の2村と合併、1955年千里(ちさと)、吾妻(あづま)、月輪(つきわ)、翁島(おきなじま)の4村と合併、同年長瀬村を編入。JR磐越(ばんえつ)西線、国道49号、115号、459号が通じ、磐越自動車道の猪苗代磐梯(ばんだい)高原インターチェンジがある。また、北東部の福島市との境界を磐梯吾妻スカイラインが走る。中心市街は磐梯山南麓(なんろく)にあり、鎌倉時代には蘆名(あしな)氏の一族猪苗代氏の居城亀ヶ城(かめがじょう)(猪苗代城)が置かれ、近世初期からは若松城の支城として蒲生(がもう)氏の重臣が居城した。若松から二本松、福島に通じる要地でもあった。猪苗代湖へ注ぐ長瀬川の三角州は標高500メートルを超えるが、広い水田帯になっている。稲作がほとんどであるが、近年になり、高冷地野菜やソバ、花卉(かき)栽培がみられるようになった。磐梯山や猪苗代湖一帯は磐梯朝日国立公園の一部。国の天然記念物に磐梯山爆発のときの見禰の大石(みねのおおいし)、国の重要文化財に明治建築の天鏡閣などがある。また野口英世の生家跡には野口英世記念館、隣接して会津民俗館がある。押立(おったて)、川上沼尻横向(よこむき)など温泉も多い。磐梯山麓にはスキー場もある。面積394.85平方キロメートル(一部境界未定)、人口1万3552(2020)。

[安田初雄]

『『猪苗代町史』全3巻(1977~1982・猪苗代町)』


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