デジタル大辞泉
「月輪」の意味・読み・例文・類語
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つき‐の‐わ【月輪】
[1]
① 月。特に、満月。げつりん。《季・秋》
※貞元二年左大臣頼忠前栽歌合(977)「みづのおもにうかべるあきのつきのわにきみが千とせのかげぞみえける〈藤原光舒〉」
※俳諧・毛吹草(1638)六「月の輪(ワ)は内に入けり桶の水〈光慶〉」
② 満月にかたどったまるい形。まるい輪。
車輪など。
※
蜻蛉(974頃)上「御車のつきのわのほどの、日にあたりてみえつるは」
※新撰六帖(1244頃)二「おく山に住むあらくまの月のわによめこそいとどくもらざるらめ〈藤原家良〉」
※
曾我物語(南北朝頃)一「この矢をつがひ、しぼり返して月のわをはすしろに、いをかけていければ」
④
袈裟の胸のあたりに飾りのためにつける
象牙などでつくった丸い環。
※雑俳・柳多留‐一二八(1833)「月の輪げさを熊谷が襟に見せ」
⑤ わらを輪にして作った丸い釜敷。〔
和訓栞(1777‐1862)〕
⑦ 刀の刃の先にある半月形の割れ。
⑧
近世の的射
(まとゆみ)に用いる弓弦の
両端に巻く紅白の布切のうち白の方。紅の方は「日の輪」という。
[2]
[一] 京都市東山区南部の地名。泉涌寺から東福寺にかけての
一帯。鎌倉初期、九条兼実の御所月輪殿があった。月輪十二陵などに地名が残っている。
※後
拾遺(1086)春下・一五二・
詞書「月輪といふ所にまかりて元輔、
恵慶などともに庭の藤の花をもてあそびてよみ侍りける」
[二] (
祖父にあたる兼実が月輪殿と称されたことから) 藤原基家
(もといえ)およびその
子孫の
公家の
家名。
がち‐りん グヮチ‥【月輪】
① 月の異称。輪のように丸い満月。
※延慶本平家(1309‐10)一本「月輪西山に隠れて夜陰に及びければ」
※書言字考節用集(1717)一「月輪 グ
ハチリン又云月輪天子」 〔
法苑珠林‐四〕
②
衆生に
本来備わっている心を清浄な満月にたとえたもの。
真如の月。
※十住心論(830頃)九「汝今宜応下当於二鼻端一想二浄月輪一、於二月輪中一作中唵字観上」
※曾我物語(南北朝頃)七「ぐゎちりんのくもらぬをさとりと申し」
※成尋母集(1073頃)「月のいみじうあかきをみ侍に、よふけているに、月りんといふことのおぼえてあはれに」
げつ‐りん【月輪】
〘名〙 (月の形が丸く輪のようであるところから) 月の異称。
※
田氏家集(892頃)下・省試賦得珠還合浦「旧浦還
二星質
一、空涯返
二月輪
一」 〔岑参‐経華嶽寺詩〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「月輪」の読み・字形・画数・意味
【月輪】げつりん
月。円月。唐・王昌齢〔春宮曲〕詩 昨夜風は開く露井の桃 未央殿、輪高し字通「月」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報