火打・燧(読み)ひうち

精選版 日本国語大辞典 「火打・燧」の意味・読み・例文・類語

ひ‐うち【火打・燧】

〘名〙
① 火打石と火打金とを打ち合わせて発火させること。また、その道具。火打石。
※古事記(712)中「其の火打(ひうち)以ちて火を打ち出でて」
② 「ひうちば(火打羽)」の略。
③ 紙子・合羽などの袖つけの八口(やつくち)縫目がほころびないように押えのために縫いつけた三角形の布や紙。
※俳諧・いつを昔(1690)「小坊主に名を案ずればきりぎりす 火打あつめて紙子うれしく」
④ 打裂(ぶっさき)羽織の背の切れたところにつける三角形の補助ぎれ。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四「もめんのねずみ小もんに、ひうちの所、くろじゅすをあてたる」
⑤ (比打) 芸者座敷に出る時動きやすくするため、下着の裾に三角形の布ではぎを入れたもの。
⑥ 江戸時代、上方遊郭で、端女郎(はしじょろう)の異称。
※浮世草子・御前義経記(1700)一「端女郎は鹿恋(かこひ)より下、みせ女郎といふなり。替名をけちとも、火打(ヒウチ)共〈略〉いふ」
⑦ 建築で、土台・梁などの二つの材木が水平面で直交するとき、その直角の歪みを少なくするために隅に斜めにとりつける補強材。火打材。〔新時代用語辞典(1930)〕

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