演説・演舌(読み)えんぜつ

精選版 日本国語大辞典 「演説・演舌」の意味・読み・例文・類語

えん‐ぜつ【演説・演舌】

〘名〙
① 文字でなく、声音によって道理教義、また意義などを述べ、説くこと。説明すること。
※観智院本三宝絵(984)下「互に妙法演説し、諸の善事等をあらはししめす」 〔法華経‐序品〕〔周書‐熊安生伝〕
② 多くの人の前で自分の主義、主張や意見を述べること。
学問のすゝめ(1872‐76)〈福沢諭吉〉一二「演説とは英語にて『スピイチ』と云ひ、大勢の人を会して説を述べ、席上にて我思ふ所を人に伝るの法なり」
[語誌](1)中国の古典語であるが、日本でも平安時代から幕末・明治初期まで①の意味で用いていた。
(2)江戸中期以降、蘭学者の間で、オランダ語 redevoering の訳語として用いられ、さらに明治時代になってから英語 speech の訳語にも当てられるようになった。なお、当時の表記としては「演説」の他に「演舌」なども見られるが、後に次第に「演説」に統一されていった。

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