溯・遡・泝（読み）さかのぼる

精選版 日本国語大辞典

さか‐のぼ・る【溯・遡・泝】

〘自ラ五（四）〙

① 川の下流から上流にのぼる。流れと逆の方向にのぼる。

※万葉（８Ｃ後）二〇・四四六一「堀江より水脈(みを)左可能保流(サカノボル)楫の音の間なくそ奈良は恋しかりける」

② 過去、または根本にたちかえる。

※西国立志編（1870‐71）〈中村正直訳〉七「凡そ人の血統〈略〉その先を追溯（〈注〉サカノボル）すれば」

※雁（1911‐13）〈森鴎外〉二「湯帰りの女を見た日より前に溯(サカノボ)って、あの家の窓から女が顔を出してゐたことがあったか、どうかと思って考へて見るが」

③ 上気する。のぼせる。

※浄瑠璃・蘆屋道満大内鑑（1734）一「さかきさかきとさかのぼる、狂人くるへば不狂人」

出典　精選版 日本国語大辞典