浮島沼・浮島ヶ原(読み)うきしまぬま・うきしまがはら

日本歴史地名大系 「浮島沼・浮島ヶ原」の解説

浮島沼・浮島ヶ原
うきしまぬま・うきしまがはら

愛鷹あしたか山南麓と富士川などによって形成された砂洲(東田子ノ浦砂丘・千本浜砂丘)との間に形成された低湿地帯が浮島ヶ原で、鎌倉時代の「東関紀行」に「浮島か原は、いつくりよりもまさりてみゆ、北はふしの麓にて、西東へはるはるとなかき沼あり、布をひけるかことし、山のミとり影を浸して、空も水もひとつ也、蘆かり小舟所々に棹さして、むれたる鳥、おほくさわきたり」と記されるように、この浮島ヶ原のなかに東西に長く広がっていたのが浮島沼であった。なお江戸時代には浮島沼をひろ沼・富士沼・富士広沼・富士大沼・須津すど沼・須津広沼などともよんでいる(「駿河志料」・天保国絵図など)

富士川による砂洲の形成は今から六、七千年前頃に始まったと考えられる。富士地区での所見であるが、地表から二一・五メートルの深さで南九州鬼界カルデラのアカホヤ(放射性炭素による年代測定で六千四〇〇年前とされた)が存在する。その下半部に青灰色砂層の堆積がみられるので、この層の堆積はアカホヤ降灰の少し前に終了し、これを境に富士川起源の砂礫層が堆積を開始したと考えられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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