浜納豆(読み)ハマナットウ

デジタル大辞泉 「浜納豆」の意味・読み・例文・類語

はま‐なっとう【浜納豆】

納豆一種。煮た大豆こうじ小麦粉をまぶして発酵させ、塩汁に漬けたのち乾燥してサンショウ・ショウガなどの香料を加える。浜名湖北岸にある大福寺で作り始めた。浜名納豆

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「浜納豆」の意味・読み・例文・類語

はま‐なっとう【浜納豆】

〘名〙 「はまななっとう(浜名納豆)」の略。《季・夏》
言継卿記‐弘治三年(1557)正月二二日「彌介遠州之浜納豆一桶持来」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「浜納豆」の意味・わかりやすい解説

浜納豆
はまなっとう

静岡県浜松の名産品で、ダイズを原料とした乾いた納豆。豊臣(とよとみ)秀吉朝鮮出兵のときに、浜松近くの三ヶ日(みっかび)(現、浜松市北区三ヶ日町)にある大福寺(だいふくじ)の僧が浜納豆を献上して喜ばれた。韓(から)を納めてまめであるということばの縁起を吉兆としたからで、初めは韓納豆といっていたが、地名をとって浜納豆、または寺名を冠して大福寺納豆ともいった。徳川家康が浜松城にいたときには元旦(がんたん)に献上し、その後、将軍の賀上の祝い膳(ぜん)には浜納豆を加えたという。つくり方の一例は、ダイズ4リットルを鍋(なべ)に入れて煮て、そのまま1日置き、莚(むしろ)の上に広げて、麹(こうじ)菌、炒(い)った小麦粉をまぶす。室(むろ)の中に2~3日置くと白かびができる。これにさんしょうの粉少々をふりかけ、水4リットルに塩1リットルを溶かした中に入れ、蓋(ふた)をして半年から1年置く。天日で乾燥させて、酒の肴(さかな)や飯の菜に用いる。

多田鉄之助


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「浜納豆」の意味・わかりやすい解説

浜納豆 (はまなっとう)

浜名納豆(はまななつとう)の略。塩辛納豆の一種で,遠江の大福寺(現静岡県浜松市,旧三ヶ日町)でつくり始めたといわれ,1638年刊の《毛吹草》にも名が見えている。
納豆
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「浜納豆」の意味・わかりやすい解説

浜納豆【はまなっとう】

塩辛納豆の一種。浜名湖畔,三ヶ日町(現・浜松市)の大福寺の産で,浜名納豆の略。中国伝来の食品で,蒸しダイズにコウジカビを接種し,塩水に浸して発酵,乾燥させたもの。暗黒色でみそに似た風味をもち,酒のつまみなどにする。京都の大徳寺や天竜寺で作られ,それぞれの名を冠する寺納豆も同種のもの。
→関連項目納豆

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「浜納豆」の意味・わかりやすい解説

浜納豆
はまなっとう

静岡県浜松地方の名産である塩納豆をいう。京都の寺納豆 (大徳寺納豆,天竜寺納豆) と同類である。麹菌を用いてつくり,関東地方で一般的な糸引き納豆とは菌学的に製造法が異なる。蒸し大豆に麹菌と香辛料をふりかけ麹をつくり,数日してから樽に移し,豆麹が漬かる程度まで塩水を入れ,重しを載せ半年ないし1年間熟成させる。出てきた汁分を除き,天日で乾燥して製品とする。黒褐色粒状で,食塩を約 10%含み,風味は味噌に似ている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の浜納豆の言及

【バラ(薔薇)】より

…瘦果(そうか)は肉質の花床に包まれる。北半球の亜寒帯から熱帯山地にかけて分布し,日本にはノイバラ,テリハノイバラ,ヤマイバラ,タカネバラ,サンショウバラ,ナニワイバラ,ハマナス(イラスト)など十数種が野生する。
[昔の園芸種とその原種]
 ギリシア・ローマ時代には,西アジアからヨーロッパ域の野生バラや,それの自然交雑と推定される花の目だつ変り物がよく栽培されていた。…

※「浜納豆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android