波見浦(読み)はんうら

日本歴史地名大系 「波見浦」の解説

波見浦
はんうら

[現在地名]高山町波見

肝属川河口に設けられた湊で、東は海(志布志湾)に面し、対岸柏原かしわばる(現東串良町)。「三国名勝図会」には「境川の巨流、海口より凡拾町許の間なり、(中略)柏原沙洲、河海の交に横出して湾曲を成し、海口甚だ狭く僅二拾歩に過ぎずして、東溟の溶々たるを受く、故に潮水吐呑の時に方ては、河流と相激し、狂浪濆す、舟舶これに会へば、忽ち摧損し、或は覆没の難あり、因てその満涸を察して通行し、満潮には、巨船出入自在にて、此浦港に泊繋すれば、疾風の時猶安たり」と記される。また波見浦の前、肝属川中に洲嶼(中洲)がある。応永一七年(一四一〇)一月一六日に島津元久から波見筑後守に安堵された塩屋湊(「島津元久安堵状」旧記雑録)、同二二年四月一〇日肝付兼元から波見筑後守に宛行われた肝付郡東方野崎之のさきの湊は(「肝付兼元書下」喜入肝付家文書)、当浦もしくは肝属川上流の津曲つまがり唐仁とうじん(現東串良町)辺りをさすのであろうか。なお柏原浦の上流部、唐仁との間には潟が広がっており、肝属川左岸の主要湊は近世中期まで上流寄りの唐仁であった(東串良郷土誌)。「籌海図編」にあげられる薩摩国の湊起麻子記(肝属)は、当浦を含む肝属川河口の湊をさすのであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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