泉龍寺(読み)せんりゆうじ

日本歴史地名大系 「泉龍寺」の解説

泉龍寺
せんりゆうじ

[現在地名]狛江市元和泉一丁目

小田急線狛江駅の北西方にある。雲松山華厳院と号し、曹洞宗本尊釈迦如来。字駄倉だぐらの立川段丘の中に食込む凹地帯・谷頭地形に臨み、境内南東の隅に湧水があった(泉龍寺弁財天池)。旧境内域の北部には経塚きようづか古墳があり、その墳頂に中世の板碑が林立していた。慶長年間(一五九六―一六一五)に掘削された六郷ろくごう用水は同古墳のすぐ南を通って境内を横断した。明暦元年(一六五五)の泉龍寺鉄叟禅師縁記(泉龍寺文書)には良弁の開創伝説が記されている。これは和泉いずみ村が旱魃の際に弁財天べんざいてん池で執り行った雨乞行事に対応しており、この雨乞は良弁が開創したとされる相模国おお山の信仰に結び付いていた。

泉龍寺
せんりゆうじ

[現在地名]福山市霞町四丁目

福山城跡の西南方、近世西にし町と通称された地域の西南隅近くに位置する。大淵山と号し、曹洞宗。本尊釈迦如来。

開基は快応竜喜で、三河国刈谷かりや(現愛知県刈谷市)に水野家香華院として草創され、西明さいみよう(現愛知県岡崎市)の末寺であった。水野氏移封に従って郡山こおりやま(現奈良県大和郡山市)に移り、さらに備後への移封にあたり、水野勝成の亡父忠重瑞源院の位牌を奉じて、龍泉りゆうせん(現深安郡神辺町)を宿坊としたが、元和八年(一六二二)に福山城下町に忠重の菩提を弔う賢忠けんちゆう寺が建立され、同寺が水野家の菩提寺となったので、改めて家老中山将監重盛が願主となり、寛永七年(一六三〇)現在地に建立された。

泉龍寺
せんりゆうじ

[現在地名]伊勢崎市柴町

しば町集落の北方、利根川左岸にある。臨済宗円覚寺派、万松山と号し、本尊釈迦如来。禅道場として多くの僧侶が集まった。もとは柴盤山玉泉ぎよくせん寺と称し、真言宗であったともいわれている(享和元年「神社寺塔書上」関根文書)。応永元年(一三九四)大拙祖能の法嗣白崖宝生を開山、那波なは城主大江宗広を開基として中興されたという。天文三年(一五三四)・同九年の二度にわたり那波宗俊は越後関興かんこう(現関興寺、新潟県南魚沼郡塩沢町)住職傑洲を当寺の住持として招来(関興庵世代由緒)、また法流末の当地来福らいふく寺の一華は、上田長尾氏の房長の招来に応じて永正一〇年(一五一三)関興庵の住持となっており、両寺の交流がみられる。

泉龍寺
せんりゆうじ

[現在地名]日野町黒坂

黒坂くろさか市街の北、日野川支流の東流する天郷てんごう川左岸に位置する。瑠璃光山と号し、曹洞宗。本尊は釈迦如来。「日本洞上聯灯録」によると、応永(一三九四―一四二八)頃に黒坂城主の援助によって米子総泉そうせん寺三世禅室珍目によって開かれたという。伯州黒坂開元記(山上家文書)によれば、慶長一五年(一六一〇)黒坂に入封した関一政が菩提寺として漆原うるしばら村の古寺より本尊を移し、中菅なかすげ村の古寺不動寺を泉龍寺として造営、寺領を与えたというが、泉龍寺文書と併せて読めば、前掲開元記の記述は滝山たきやま神社の社僧寺(当寺および中菅村化龍寺・漆原村福寿寺・黒坂村宝珠院)の変遷を記したものと思われる。

泉龍寺
せんりゆうじ

[現在地名]上野村乙父 田平

神流かんな川右岸にある。泉龍山と号し、曹洞宗、本尊は釈迦如来。天正三年(一五七五)恵翁が開山し、慶長三年(一五九八)善知が堂を建てたと伝える。森戸もりと大明神(森戸抜鉾大明神、現乙父神社)へ奉納された大般若経を伝えることなどから、一説ではもとは天台宗で、同社の別当寺と推定されている。慶応四年(一八六八)の乙父村明細帳(黒沢文書)では天岩山泉龍寺とあり、除地境内四畝余とある。寺宝に県指定重要文化財の墨書大般若経がある。六〇〇巻のうち巻五二三を欠く五九九巻が現存、江戸期の補修によって折本となり、五〇巻ずつ一二の経箱に収める。奥書によると永徳元年(一三八一)七月から翌年一〇月頃までに宗救・祐盛らが願主となって勧進、山中さんちゆう領の住人を檀那として約二〇人が書写し、森戸大明神に奉納した。

泉龍寺
せんりゆうじ

[現在地名]川内町川内 川内

通称なか町にあり、東に本覚ほんがく寺がある。独峰山と号し、曹洞宗。本尊は釈迦如来。寛政年間(一七八九―一八〇一)の「邦内郷村志」に「泉龍寺 独峯山田名部円通寺末寺」とある。寛文一二年(一六七二)の草創と伝え、開山は田名部たなぶ(現むつ市)円通えんつう寺七世門突という(新撰陸奥国誌)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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