河東(読み)カトウ

デジタル大辞泉 「河東」の意味・読み・例文・類語

か‐とう【河東】


川の東方。特に、江戸では隅田川の東の深川の遊里、京都では鴨川の東の祇園ぎおんの遊里をさした。
河東節」の略。
中国で、南流する黄河の東側一帯。主に山西省南西部をいう。

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精選版 日本国語大辞典 「河東」の意味・読み・例文・類語

か‐とう【河東】

[1] 〘名〙
① 川の東方。
※本朝無題詩(1162‐64頃)一〇・山寺即事〈藤原忠通〉「河東有寺訪其源、祖考幽栖昔相門」
※談義本・当世下手談義(1752)五「近世の河東(カトウ)は、中にも上品の至り浄留理。和して都の優美に恥ず」
[2]
[一] 江戸で隅田川の東側、本所、深川を、京都で鴨川の東側、祇園をさす。
※園太暦‐貞和三年(1347)八月八日「新日吉社造営料足事、宛課洛中河東酒屋、可其功之由」
[二] とくに、江戸深川の遊郭をさしていう。
※洒落本・文選臥坐(1790)目「河東(カトウ)(〈注〉フカガハ)の艷詞」
[三] 河東節の創始者、十寸見河東(ますみかとう)。また、初代以後、代々の家元の芸名
[四] 中国の黄河東岸地方の通称。主に山西省西南部をさす。中国語ではホートン
[五] 北海道の中南部、十勝支庁の郡。十勝川上流東岸にある。明治二年(一八六九)十勝国の一郡として成立。

かわひがし かはひがし【河東】

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日本歴史地名大系 「河東」の解説

河東
かとう

戦国時代の駿河国のうち富士郡・駿東すんとう郡一帯をさす広域地名富士川より東の地域というのが地名の由来。「快元僧都記」天文六年(一五三七)三月四日条に「駿州吉原飛脚相立進巻数畢、富士河東郡、悉本意之由返礼有之」とある。この前年に今川氏の家督を相続した義元は、今川家の外交政策を親武田・反北条に一変させた。これに対抗して北条氏綱は家祖早雲以来の縁故の地を回復しようと企て、今川領国である駿河東部に侵攻した。前記の「富士河東郡、悉本意之由」とは、この氏綱の企てをさしている。当地は早雲が妹の嫁ぎ先である今川家第六代当主義忠の不慮の死によって起きた家督争いを無難に収め、妹の子龍王丸(のちの氏親)を第七代当主の座につかせることに成功したことにより、今川家から富士下方しもかた一二郷および興国寺こうこくじ(現沼津市)を与えられて以来の北条氏の故地であった。鎌倉鶴岡八幡宮相承そうしよう院の供僧快元に対しての、天文六年とみられる三月七日の北条氏綱書状(相承院文書)には「当口河東之、悉以本意候」とみえる。この時の戦乱を今川氏は河東一乱と称し、天文二三年に駿河・甲斐・相模三国が同盟関係を結んで乱が終結するまで一進一退の戦闘が続いた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「河東」の意味・わかりやすい解説

河東
かわひがし

福島県西部,会津若松市北部の旧町域。猪苗代湖の北西に位置する。 1957年日橋村と堂島村が合体して河東村となり,1978年町制。 2005年会津若松市に編入。猪苗代湖から流れる日橋川の流域にあり,日橋川筋には発電所が多い。会津では早くから開発された地域。米作が中心に行なわれていたが,トマトなどの野菜や花卉のハウス栽培も盛ん。延命寺地蔵堂,八葉寺阿弥陀堂 (ともに国指定重要文化財) などの古刹がある。磐梯朝日国立公園に属する。

河東
かとう
He-dong; Ho-tung

中国の山西省南西部,南流する黄河の東側の地。の禹の故都の伝承をもつ安邑を中心とし,戦国時代の魏郡となり,東,南方の河内,河南と合せ三河と称され,古代の先進地帯であった。六朝時代になって治所が安邑から蒲坂に移り,のち蒲州が設置され,さらに唐の時代には十道ないし十五道の一つとして河東道がおかれ,これは山西省全域に及んだ。本来の河東の地には宋,金,元を通じ,河中府がおかれた。解池の塩 (→解州塩 ) の産出は古来今日にいたるまで著名である。

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改訂新版 世界大百科事典 「河東」の意味・わかりやすい解説

河東 (かわひがし)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「河東」の解説

河東 かとう

⇒十寸見河東(ますみ-かとう)

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世界大百科事典(旧版)内の河東の言及

【三河】より

…中国の前漢時代に河東,河内,河南を総称した地名。河東は南流黄河の東部で今日の山西省南西部,河内は東流黄河が太行山脈の南東角から転じて北流する屈曲部の内側,今日の河南省北部,河南は黄河の南側に当たる河南省中部をさす。…

※「河東」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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