普及版 字通 「沓(漢字)」の読み・字形・画数・意味
沓
人名用漢字 8画
[字訓] けがす・かさなる・むさぼる
[説文解字]
[字形] 会意
水+曰(えつ)。曰は祝を収めた器。その器に水を加えるのは、その祝をけがし、効果を失わせるための行為である。〔説文〕五上に「語多くして沓沓たるなり」といい、水の流れるような多弁の意とするが、それは(とう)の字義である。〔国語、語〕「其の民は沓貪にしてなり」の〔注〕に「黷(けが)すなり」とあり、沓は祝を黷すことを原義とする字である。多言の意は、〔子、正名〕に「愚の言は然として沸(さわ)がし」とみえる。
[訓義]
1. けがす、けがれる、みだす、おかす。
2. かさなる、くわえる、あう、むさぼる。
3. ことばが多い。
4. 水がながれる、わきあふれる。
5. もののかさなるさま。
6. 鼓の音。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕沓 アフ・カサナル・カサヌ・タタム・クラシ 〔字鏡集〕沓 カサヌ・クツ・オモシ・アフ・タタム・クラシ
[声系]
〔説文〕に沓声としてなど七字を収める。擬声的な語が多い。
[語系]
沓・・dpは同声。沓は祝の器にくりかえしくりかえし水を加えてけがし、その祝を妨げる意。語を以てそのように行為することをという。臼を舂き終わって、また舂きなおすことをという。dpは同声。は涙の象形。涙を流しつづけることを、語の多いことを「(とうとう)」という。
[熟語]
沓合▶・沓颯▶・沓舌▶・沓貪▶・沓潮▶・沓沓▶・沓風▶・沓冒▶・沓▶・沓来▶・沓猥▶
[下接語]
会沓・驕沓・合沓・颯沓・雑沓・積沓・蹙沓・叢沓・沓・貪沓・波沓・紛沓
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報