比・類・属(読み)たぐい

精選版 日本国語大辞典 「比・類・属」の意味・読み・例文・類語

たぐい たぐひ【比・類・属】

〘名〙 (動詞「たぐう(比)」の連用形の名詞化)
① いっしょにいるもの。仲間。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
源氏(1001‐14頃)若紫「たぐひになさせ給へ」
② いっしょに対(つい)になっているもの。
(イ) 特に、夫婦つれだっているもの。配偶
書紀(720)孝徳五年三月・歌謡山川鴛鴦(をし)二つ居て 陁虞毗(タグヒ)よく」
※あさぢが露(13C後)「君はまだたぐひおはせざりき」
(ロ) 兄弟・姉妹など。
※源氏(1001‐14頃)葵「又、たぐひおはせぬをだに、さうざうしく思(おぼ)しつるに」
③ 漠然と複数の人をさす。人々。連中
※源氏(1001‐14頃)薄雲「又この事を知りて、もらし伝ふるたぐひやあらむ」
④ 性質、種類などが、同じような物事同類。同例。
※山田本妙法蓮華経平安初期点(830頃)「此の会の中の我れとごとき等比(タクヒ)百千万億とのごときは」
徒然草(1331頃)四〇「更に米のたぐひを食はざりければ」
⑤ 同じ程度の物事。肩を並べるもの。匹敵するもの。
万葉(8C後)四・五八二「大夫(ますらを)もかく恋ひけるを手弱女の恋ふる心に比(たぐひ)あらめやも」
⑥ その流れをくむもの。亜流余流
※談義本・根無草(1763‐69)前「憤て汨羅(べきら)に沉し屈原が流(タグイ)にもあらず」

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