楪城跡(読み)ゆずりはじようあと

日本歴史地名大系 「楪城跡」の解説

楪城跡
ゆずりはじようあと

[現在地名]新見上市

標高四二五―四五〇メートル、比高二〇〇―二四〇メートルの尾根上に築かれた中世の城。備北では備中松山まつやま(現高梁市)に次ぐ規模をもつ。城跡からは東の眼下に蛇行しながら南流する高梁たかはし川とこれに並行して北上する伯耆への道が眺望でき、南方約一キロ付近には北西から南東へ流路をとって高梁川に合流する西にし川および河道沿いの古間道を視界に収めることができる。両河川の合流点は新見庄から北方または西方に通ずる交通の要衝にあたっていた。城郭のあった尾根は、北が高く南が低く、南北に長く、東・西・南に流れがあり、築城に適した土地である。現在、本丸・二の丸・三の丸が跡をとどめるが、いっきょに築城されたのではなく、城主となった諸氏の勢力の伸長や軍事政策とかかわりあって拡張整備されたものとみられる。城名は史料には杠城(杠の城)・新見城(新見の城、新見庄の城)などとみえる。上市の谷内かみいちのたにうちから木戸きどを経て城に至る。

築城時期は不明だが、築城者は新見氏と推定される。新見氏の出自は不明だが、文正元年(一四六六)九月日の新見賢直言上状案(竹田家文書)によると、先祖治部丞資満が、承久の乱の勲功の賞として貞応元年(一二二二)新見庄地頭に補任されたという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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