日本大百科全書(ニッポニカ) 「松村みね子」の意味・わかりやすい解説
松村みね子
まつむらみねこ
(1878―1957)
歌人、翻訳家。東京生まれ。本名片山広子。東洋英和女学校卒業。1896年(明治29)佐佐木信綱(のぶつな)に入門。作品を『心の花』に発表、上田敏(びん)、森鴎外(おうがい)、坪内逍遙(しょうよう)らに才能を認められた。菊池寛は「わが金蘭簿(きんらんぼ)中、最も秀(すぐ)れた日本女性」とその人柄を賞した。歌壇に超然として、純粋な歌境に沈潜した。歌集『翡翠(かわせみ)』(1916)出版後、アイルランド文学の訳業に専念し、その面での開拓者になった。1935年(昭和10)ふたたび歌に帰り、歌集『野に住みて』(1954)を本名で出版。また随筆『燈火節』(1954)がある。