本宮(市)(読み)もとみや

日本大百科全書(ニッポニカ) 「本宮(市)」の意味・わかりやすい解説

本宮(市)
もとみや

福島県中通(なかどお)り地方中北部にある市。2007年(平成19)安達(あだち)郡の本宮町と白沢村(しらさわむら)が合併して市制施行。東部は阿武隈(あぶくま)高地の岩角(いわづの)山、高松山などがあり、西に向かって丘陵地や平坦地が広がる。また、西部にも安達太良(あだたら)山に連なる大名倉(おおなぐら)山がある。市域の中央を阿武隈川が北流する。JR東北本線、国道4号が通じ、東北自動車道の本宮インターチェンジが設置されている。稲作のほか、近郊農業が盛んで、近年では特産品づくりとして烏骨鶏(うこっけい)の飼育もみられる。かつては養蚕が盛んであったが、衰退した。工業団地が造成され、ビール工場などが進出している。

 中心地区は本宮で、平安後期に安達太良山から甑(こしき)明神ほか、大名倉山から宇奈明神をこの地に移して安達郡の総鎮守とし、地名を本宮と改めたという。江戸時代は二本松(にほんまつ)藩領で、代官所が置かれた。また本宮は、奥州街道と会津街道、相馬街道の分岐点にあたり、宿場町としても栄えた。一方、白沢地区は江戸時代から養蚕が盛んであったが衰退し、現在は長芋が特産。

 ボタンサクラ名所として知られる蛇の鼻(じゃのはな)遊楽園の園内にある「蛇の鼻御殿」は国の登録有形文化財。全山花崗(かこう)岩が露出する岩角山は県指定名勝・天然記念物。面積88.02平方キロメートル、人口3万0236(2020)。

[編集部]


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