本因坊道策(読み)ホンインボウドウサク

デジタル大辞泉 「本因坊道策」の意味・読み・例文・類語

ほんいんぼう‐どうさく〔ホンインバウダウサク〕【本因坊道策】

[1645~1702]江戸前期の囲碁棋士。石見いわみの人。3世本因坊道悦門下に入り、4世本因坊を継いで、名人位に推される。碁聖と称され、布石理論や段位制を確立し、近代碁の始祖といわれる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「本因坊道策」の意味・わかりやすい解説

本因坊道策 (ほんいんぼうどうさく)
生没年:1645-1702(正保2-元禄15)

江戸前期の囲碁名人。本姓山崎,幼名三次郎。石見国(島根県)の生れ。3世本因坊道悦(1636-1727)門下で,1677年(延宝5),4世本因坊を名のり,同時に名人碁所に推された。彼の時代に碁は合理性を増し,辺への展開を志すようになり,思想的な広がりを示した。五虎ないし六天王と呼ばれる小川道的,佐山策元,桑原道節(井上家に入り名人因碩となる),熊谷本碩星合八碩,吉和道玄らの優秀な弟子抱え本因坊丈和の後聖に対し,前聖といわれた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「本因坊道策」の意味・わかりやすい解説

本因坊道策
ほんいんぼうどうさく

[生]正保2(1645).石見
[没]元禄15(1702).3.26.
囲碁名人。本姓山崎。3世本因坊道悦の門下。延宝5 (1677) 年,道策は家督相続を許され4世本因坊になると同時に名人の手合に進んだ。これを機に,江戸幕府碁所を創設し,同6年4月 17日付で道策をその取締りに任じた。碁所を1世本因坊算砂以来とする通説は誤りである。道策は辺を重視する布石定石を開発し,古典的な碁から近代的な碁へのかけ橋となった。弟子に桑原道節 (のちに名人井上因碩) ,小川道的,佐山策元,星合八碩,熊谷本碩などの高弟があり,段位制,家元制も彼の時代に確立された。世に碁聖といわれる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

朝日日本歴史人物事典 「本因坊道策」の解説

本因坊道策

没年:元禄15.3.26(1702.4.22)
生年:正保2(1645)
江戸前期の囲碁棋士,4世本因坊,名人。囲碁史上初めて碁聖といわれ実力13段とうたわれた。石見国(島根県)馬路村の生まれ。幼名は山崎三次郎。7歳で碁を覚え,江戸で本因坊道悦に学んだ。その才はゆっくりと熟成,延宝5(1677)年道悦の跡を継ぎ4世本因坊,翌年名人碁所となった。当時の強豪をすべて向こう先以下に打ち込み,第一人者として君臨した。それまでの力碁中心から合理的な布石を創案,手割りの考え方も導入,近代的な碁の基礎をつくった。このころ本因坊家,井上家,安井家,林家と4つの棋院家元が固まり段位制度も確立した。<参考文献>呉清源『道策』(日本囲碁大系)

(谷口牧夫)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

百科事典マイペディア 「本因坊道策」の意味・わかりやすい解説

本因坊道策【ほんいんぼうどうさく】

囲碁棋士。石見(いわみ)国(島根県)の生れ。本因坊3世道悦に師事。1676年道悦の引退とともに本因坊4世を襲名,1677年名人碁所につく。従来の力戦型の碁に定石理論を導入,段位制や手合割の制定など碁の理論と秩序の形成に貢献した。天才的技量を賞賛され,棋聖といわれた。3世井上因徹(道砂)は弟。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「本因坊道策」の解説

本因坊道策 ほんいんぼう-どうさく

1645-1702 江戸時代前期の囲碁棋士。
正保2年生まれ。井上道砂の兄。本因坊道悦(どうえつ)の門にはいり,延宝5年道悦の退隠により本因坊4世をつぎ,名人碁所をゆるされた。段位制度を確立し,定石(じょうせき)など合理的な考えを導入した。「碁聖」とよばれた。元禄(げんろく)15年3月26日死去。58歳。石見(いわみ)(島根県)出身。本姓は山崎。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の本因坊道策の言及

【碁】より

…なお,碁所の地位を得た者は次の8名のみである。初代本因坊算砂,中村道碩,2世安井算知,4世本因坊道策,4世井上因碩,5世本因坊道知,9世本因坊察元,12世本因坊丈和。江戸時代の家元は算砂を初代とする本因坊家,その跡を継いで碁所に就いた中村道碩を元祖とする井上家,準名人算哲を祖とする安井家,準名人門入(もんにゆう)を祖とする林家の4家である。…

【本因坊】より

…京都寂光(じやつこう)寺の塔頭(たつちゆう)〈本因坊〉の僧算砂(本因坊算砂)を祖とする。4世道策(本因坊道策)は布石理論をひっさげて近代碁の基礎を築き,無敵の5世道知とともに本因坊家の優位を不動のものとした。9世察元は時の6世井上春碩(しゆんせき)因碩(1707‐72)と名人位を争い,紛争をきわめた争碁に勝ち念願の名人となり,本因坊家中興の祖といわれる。…

※「本因坊道策」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android