有河(読み)ありかわ

日本歴史地名大系 「有河」の解説

有河
ありかわ

中世にみえる五島地名。正応四年(一二九一)六月日の河棚住人秋丸恒安申状案(青方文書、以下断りのない限り同文書)に有河とみえ、塩田大貫殿の下人文五郎らが売買のために五島に赴いて有河から青方あおかた(現上五島町)に向かう途次、山口で山賊に遭って所持物を奪われたうえ殺された。河棚かわたな(現川棚町)住人の秋丸恒安らが捕らえられたが無実を主張、身代りを置いて釈放され、山賊を探した結果、この山賊は青方高家(覚念)の下人の弥五郎および五郎三郎であるとして、恒安は青方高家のもとに使者を派遣して下手人を召捕らえて重罪に処すよう訴えた。鎮西探題はこれを受けて下手人を召し進めることを高家に命じている(同年六月二八日鎮西奉行連署奉書案)。延慶三年(一三一〇)には「有河五郎次郎入道性心」が馬一疋をめぐって曾禰与一を重ねて訴え、これを受けた鎮西探題は出廷を命じたが、応じなかったため青方高家に与一を召し進むことを命じた(同年一〇月二日鎮西御教書案)。この頃、性心は所従又次郎が覚念にかくまわれているので返還を求めたが、返されていないうえ、性心の領内に住む高家の所従である得仏が塩二一石の用途一貫五〇〇文を未進したので、それが負債となっていると訴えたが、覚念は乱訴であると反論している(年月日未詳青方覚念陳状案)。正和元年(一三一二)性心は高家が波佐見親平を訴えた相論について宇久披とともに実否の調査報告を命じられている(同年一一月二一日鎮西御教書案)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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