精選版 日本国語大辞典 「書入」の意味・読み・例文・類語
かき‐いれ【書入】
かき‐い・れる【書入】
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近世、とくに江戸時代において金子(きんす)を借用するに際して、借金証文のなかに、債務者がその所有する動産・不動産を記載すること。当該物件の占有が移転することのない点で質(しち)とは異なる。不動産の書入は江戸時代にはしばしば行われたが、債権者のために物権的効力を生じないから、債務不履行のために裁判沙汰(ざた)になった場合でも、債権者は無担保の貸金以上になんらの保護を与えられなかった。しかし、二重書入(ある人に書入をした家屋・土地などをさらに他人に書入をすること)は禁止、処罰された。裁判上は債権者に対し特別の保護が与えられなかったが、特約をすることが行われた。普通のものは貸主と借主との間で書入の効果につき、債務不履行の場合は書入の不動産を債権者に引き渡す旨の特約であったが、そのほか各種の特約もあった。
[石井良助]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この法令は,1872年田畑売買解禁の布告および地券交付によりすべての土地に私的土地所有権が付与されたのにともなって制定された。おもな内容として,(1)土地金融を質入(占有担保形態)と書入(非占有担保形態)に区分し,前者の場合には地券を金主に渡すことを義務づけ,(2)年季は3年以内に限定し,(3)書入では,土地に担保余力があれば,さらに2番,3番の書入を認め,(4)規則公布時に存在する質入・書入は,すべて規則に準じて73年7月までに改約する(のちに,前約の期間を据え置くことに改正)こととしていた。この規則の書入についての規定は,73年8月23日の太政官布告〈動産不動産書入金穀貸借規則〉で補強され,これにともない質入書入規則も,74年5月に一部改正された。…
※「書入」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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