日米相互協力及び安全保障条約

山川 日本史小辞典 改訂新版 の解説

日米相互協力及び安全保障条約
にちべいそうごきょうりょくおよびあんぜんほしょうじょうやく

1951年(昭和26)調印された日米安全保障条約(旧安保条約)を改定したもの。60年1月19日に調印,6月23日に発効前文と本文10カ条。新安保条約で改訂された点は,(1)国連憲章との関係の明確化,(2)日本の施政下にある領域に限っての共同防衛の義務の明示,(3)協議(事前協議を含む)制度の新設,(4)条約期間の設定(10年),(5)経済協力の明確化,(6)内乱条項・同意条項の削除,(7)沖縄・小笠原と条約との関係明記など。旧条約の一方的・駐兵的性格が改められ,より相互的・全般的な内容となった。しかし日本国内では,(1)新条約は大幅な軍備増強の義務を負ったのではないか,(2)在日米軍の海外出動に対して事前協議で制約を加えることができるか,(3)「極東の平和と安全」の「極東」とは具体的にどの地域をさすか,(4)日本が戦争に巻きこまれる危険が増大したのではないか,という疑問が提起された。また岸信介首相の政治姿勢への反発とあいまって,社会党を中心とするさまざまな反対勢力による60年安保反対運動がおこり岸内閣は退陣した。同条約は70年に自動延長され,現在に至る40年以上の安保体制下で,日本の自衛隊は着実に増強される一方,在日アメリカ軍とその基地は著しく縮小された。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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