新北海道史(読み)しんほつかいどうし

日本歴史地名大系 「新北海道史」の解説

新北海道史
しんほつかいどうし

九冊 北海道 昭和四四―五六年刊

解説 いわゆる開道一〇〇年記念事業の一つとして企画された経緯は「北海道史」「新撰北海道史」に続くもの。編集計画を立案し、編集長となったのは「新撰北海道史」の通説一・史料一を担当した北海道大学農学部教授高倉新一郎であった。編集方針の中に「広い視野と新しい史観による」「日本史分野への寄与」「生活史的内容の取り入れ」などが掲げられている点は、第二次世界大戦後の日本史・地方史研究の潮流にそったものであることを示す。当初外部からの要望のなかに史料編の充実があった。この時期以降の府県史の構成と比べると、計画された二冊の史料編はあまりにも少ないものであった。通説一(明治維新前)の大部分が「新撰北海道史」の書直しにとどまった点も批判された。北海道近世史の研究水準は、本巻刊行後数年をへて面目を一新することになる。編集開始の初年度昭和三八年一二月から最終の同五六年三月まで、機関誌「新しい道史」七七冊を発行した。A5判三二頁の小冊子ながら北海道地方史研究の水準を伝え、新発見の史料類を登載した。

構成 第一巻概説、第二巻通説一(先史・古代―幕末)、第三巻通説二(明治維新・開拓使時代―三県一局時代)、第四巻通説三(北海道庁設置―第一次大戦)、第五巻通説四(第一次大戦後―第二次大戦)、第六巻通説五(第二次大戦後)、第七巻史料一(新羅之記録、津軽一統志巻第十、蝦夷地一件、松前歳時記草稿、開拓使日誌、北海道三県分治志通説・補遺ほか)、第八巻史料二(北海道第一期拓殖計画事業報文、北海道第二期拓殖計画実施概要、国土計画としての北海道綜合計画の必要性、北海道緊急開拓事業の概要、北海道総合開発計画書)、第九巻史料三(年表、統計、索引)。第九巻のうち年表(七一八頁)が「新北海道史年表」として平成元年再刊。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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