開拓使日誌(読み)かいたくしにつし

日本歴史地名大系 「開拓使日誌」の解説

開拓使日誌
かいたくしにつし

一〇四冊 開拓使 明治二―一〇年刊

解説 開拓使の行政広報誌。先行する「太政官日誌」その他官庁の日誌を手本にしたと思われる。記事は御沙汰書、布達、上書、伺書指令上申、届、官吏任免など、現在の官報公報に類するものが中心であるが、なかでも土地関連の法令や御雇外国人の建言など、新しい内陸開拓にともなう制度上、産業技術上の記事がめだつ。さらに開拓業務に関係する事柄や地域の状況、とくに函館支庁管内の出来事が丹念に拾われている。日誌登載の材料は開拓使の本・支庁の諸局課から得たが、道立文書館が所蔵する本・支庁、出張所の簿冊中にも「日誌」と題されたものが若干残っている。開拓使日誌は札幌本庁でとりまとめ、さらに東京出張所で校閲・編集して刊行された。一冊一〇丁ほどの小冊子であるが、時事集積であり、後の編集記録とは異なる内容に富む。「開拓使事業報告」と並ぶ基本的史料と称されるゆえんであるが、現在では道立文書館によって整理・刊行されつつある開拓使文書群と併せ利用されるべきものである。

構成 明治二年五―八月分を第一号とし、第五号(同年八―九月)でいったん中断の後、明治四年八月北海道・樺太両開拓使の合併を機に復刊し、以後同一〇年一二月まで連続。この間、明治二年九月―同四年八月の脱落分を開拓使日誌補遺上・中・下で補い、改めて同四年八月―同七年一二月(第一―三〇号)、同八年一―一二月(第一―二四号)、同九年一―一二月(第一―二一号)、同一〇年一―一二月(第一―二一号)と号を重ねた。「新北海道史」第七巻史料一。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報