索引(読み)さくいん(英語表記)index

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精選版 日本国語大辞典 「索引」の意味・読み・例文・類語

さく‐いん【索引】

〘名〙
① (━する) ひっぱること。また、ひっぱってたどり出すこと。さがし出すこと。索隠
※東京大正博覧会出品之精華(1914)〈古林亀治郎〉五「トロール漁業は、二百噸乃至五百噸の汽船に底索網を索引せしめ、海底魚類を漁獲する漁業にして」 〔曾鞏‐移滄州過闕上殿箚子〕
② ある書物の中の、語句や事項などが容易にさがし出せるように、それらを抽(ぬ)き出して一定の順序に排列した表。引得。インデックス。〔布令字弁(1868‐72)〕
三四郎(1908)〈夏目漱石〉八「あなたは索引(サクイン)の附いてゐる人の心さへ中(あて)て見様となさらない呑気な方だのに」

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デジタル大辞泉 「索引」の意味・読み・例文・類語

さく‐いん【索引】

ある書物の中の語句や事項などを、容易に探し出せるように抽出して一定の順序に配列し、その所在を示した表。インデックス。
[類語]インデックス

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改訂新版 世界大百科事典 「索引」の意味・わかりやすい解説

索引 (さくいん)
index

書籍,雑誌,辞典などの著作物における主要な内容,事柄を単一な検索法によって簡便に引き出せるように,一定の方式にしたがい編集したもの。ただし中国語では,内容別に分類した目録を索引と呼び,indexの訳語には〈引得(イントウ)〉をあてている。大きく分ければ,一つの著作物に限ったものと,多数におよぶ同種の著作物を総合したものすなわち〈総合索引〉または〈総索引〉とになる。著作物の巻末に付けられるのが普通であるが,まれには巻頭にあり,また別冊の場合がある。著作物に索引を必要とするか否か,あるいは必要とする索引の種類,規模や程度,配列方式は,著作物の性質,用途にしたがい,多くは著作物の一部として著作者・編集者の判断による。一般的な種類には,事項や件名を主とする〈事項索引〉,人名や地名の〈人名索引〉〈地名索引〉のほか,書名,用字,術語,和歌,俳句,難音訓など,必要に応じた種々の索引があり,また図書の分類や検索のための相関索引がある。それら索引の項目の配列方式は,辞典類の場合と同様に配列規則にしたがう。欧文書ではアルファベットABC)順であるが,和文書では表音または歴史的かなづかいによる五十音(アイウエオ)順やいろは順をはじめ,五十音順でも最初の漢字によってまとめる電話帳式,ローマ字化によるアルファベット順,筆画による筆画順などがある。項目の出し方は,一つ一つを独立した項目として配列するものと,内容的に取りまとめて主項目と従項目に系統だて,主項目を親見出しとして配列するものとがある。索引の目的,役割は,目次を補い,その著作物の利用者に検索上の便宜を与える点にある。索引の有無,適否は,著作物によりその効用に重大な関係をもつ。したがって作成については,簡単に考えられるべきでなく,利用の面を第一義とし,その著作物に適当した規模とすることが重要である。たとえば,いたずらに細かく綿密な索引はかえって目的をそこなう。その必要度とともに項目自体の重要度を著作物の全内容にわたって見とおしをつけ,項目の採択ならびに所在の指示には慎重な考慮が払われなければならない。機械的になされるべきではなく,説明が重点的にされているか否かに注意し,軽重にしたがって取捨し,所在を示すページ数あるいは番号についても,とくに指示個所の多い場合には重要部分の数字の字体を変えるとか,また関連する事項を参照させるくふうも必要である。

 ヨーロッパではABC順の索引がすでに15世紀ころから行われ,索引作成法も進歩し,学術書,資料的文献などには不可欠のものとなっているが,日本で検索用のための索引がようやく一般的になったのは,西洋の学問の影響であり,大正年代からである。すなわち,和漢の古書には今日のような索引がない。しかし索引的なものがなかったわけではなく,たとえば,漢和辞典の巻頭にある字画による〈検字〉表,また類字,類語の集成などは,索引の用を便ずるものである。この種の古い業績では,村田直温(1772-1842)の《事物類字》,岸本由豆流(1789-1846)の《万葉類語》,高田与清(1778-1847)の《日本紀類語》その他がある。また学術雑誌の索引作成は勧業博覧会の副事業として発展し,1892年前後には石川県勧業博物館で過去20年にわたる産業関係の雑誌記事索引が作られている。近来は幾多のすぐれた索引が調査研究の利便を増しているが,太田為三郎編《日本随筆索引》(増訂版1925,続編1932),上田万年・樋口慶千代共著の《近松語彙》(1930),正宗敦夫編《万葉集総索引》(1929-31)は,出色の総合索引として著名である。
執筆者:

索引を表す用語インデックスはラテン語indicare(〈指し示す〉の意)に由来し,古くは目次,見出しを含む検索機能全般を意味した。また書誌や目録のようなものもインデックスと呼ばれ,とくに大文字で書かれる場合はカトリック教会禁書目録などを指すことがある。索引は,活版印刷による書籍が世に出るのと同時に作成され始めたと考えてよく,18世紀ころには目次を巻頭(フランスやドイツでは巻末),索引を巻末に置くスタイルが確立し,また索引はテーブルtableなどとも呼ばれて大きな著作では別巻を形成するようになった。索引の重要性を喚起したのは紀要や雑誌,また百科事典の刊行で,大部な書籍を効率よく利用する鍵として,相互参照索引や主題別索引が開発された。たとえば《百科全書》,ビュフォン《博物誌》,《ブリタニカ百科事典》などは相互参照方式も加えた分冊の索引を備える。また定期刊行物については,アメリカ人プールWilliam Frederick Poole(1821-94)が1848年にアルファベット順雑誌記事索引を作成し始めた。イギリスの雑誌《パンチ》や《イラストレーティッド・ロンドン・ニューズ》も創刊時点から索引を用意した。77年にはイギリスに〈インデックス協会Index Society〉が設立され,新聞索引の作成に着手している。アメリカではプールの事業をよりいっそう発展的に受け継いだウィルソン社H.W.Wilson Co.が98年に《累積書籍索引Cumulative Book Index》を刊行,現在も索引サービスの事業を継続している。今日ではコンピューターの導入により,学術論文をはじめ膨大な文献をさまざまな索引項目から引き出せるようになり,索引の作成や提供も機械化の時代にはいっている。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「索引」の意味・わかりやすい解説

索引
さくいん
index

単行本、叢書(そうしょ)などの本文に記載されているおもな事項を抽出し、読者が検索しやすいように、一定の順序に配列し、本文の掲載ページを示したもの。主要事項のなかには、件名、人名、地名、文献名、語句、術語、条文名(法律書)などがある。単行本の索引は、巻末に掲載されることから、巻末索引または内容索引ともいう。また、叢書、個人全集などは、索引のみ別巻(総索引)にして発行される例もある。事項の配列の順序は、五十音順、アルファベット順、いろは順、漢字の音訓をもとにする電話帳式などがある。

 索引の作成については、項目が記載されているページを明示することから、校正が初校、再校、三校と進みページ数が確定した校正刷り(ゲラ刷り)によって項目の選定が行われる。選定に際しては、本の内容に応じ、あらかじめ選定項目の範囲および基準を設け、それに沿って校正刷りにしるしをつけていく。それをカードに書き取り、大分類(五十音順の場合はア行とかカ行というように)したのち、配列順序を決め、原稿を作成する。コンピュータによる場合は、情報入力に際し、あらかじめ項目を選定しておき、必要に応じて項目の抽出、配列が行われる。索引は著作物の一部であることから、その原稿は著者自身が作成すべきものであるが、実際には編集部まかせのものが少なくない。日本における索引の事例は近世においても散見できるが、その対象は特殊なものに限られ、広く普及するには至らなかった。一般書に索引が付されるようになったのは、ようやく大正期に入ってからである。出色のものとして物集高見(もずめたかみ)・物集高量(たかかず)編『群書索引』(1916)、太田為三郎編『日本随筆索引』(1925)、正宗敦夫(あつお)編『万葉集総索引』(1974)などがある。

 図書館においては、雑誌、新聞など定期刊行物の題目、件名、著訳者名をリストアップし、これを一定の方式によって配列した閲覧者向けのものがある。雑誌記事索引または文献索引といわれ、単行本、叢書などの内容索引に対し、こちらは題目索引ともいわれている。また、雑誌などを合本にした場合、題目、著訳者名、巻号などを抽出し、合本の巻末、あるいは別冊にして総目録が作成される。

[矢作勝美]

『稲村徹元著『索引の話』(1977・日本図書館協会)』

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図書館情報学用語辞典 第5版 「索引」の解説

索引

単行書や雑誌,その他の資料,情報源を対象として,その中の特定部分に容易にアクセスできるよう,アクセスの手がかりとなる語(見出し語)を一定の規則(五十音順やアルファベット順など)で排列し,各見出しのもとに該当する情報の所在指示を記載したリスト.見出しには主題や人名,地名,タイトルなどが,所在指示には該当ページ数や該当文献の書誌データなどが用いられる.検索効果を高めるため,見出し間に相互参照が付与されることもある.冊子体の索引では,見出しの冒頭部分が実際のアクセスポイントとなるため,見出しの形式が非常に重要であったが,コンピュータによる検索が可能になると,従来ほど見出しの形式にこだわる必要はなくなっている.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「索引」の意味・わかりやすい解説

索引
さくいん
index

インデックス。英語の原義は「人差指」。書中の人名,地名,語句,事項などを一定の順序に並べてその所在を表示したもの。1つの書物につけたものと多数の書物についての「総合索引」がある。語句索引はコンコルダンスと呼ばれ,聖書のそれが有名。現在では,コンピュータを使用して広範な情報文献の内容検索を可能にする方法も試みられている。

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普及版 字通 「索引」の読み・字形・画数・意味

【索引】さくいん

引得。

字通「索」の項目を見る

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「索引」の解説

索引

インデックス」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の索引の言及

【記号】より

…語(言語記号)は条件反射の刺激という信号に取って代わる〈信号の信号〉であり,この〈信号の信号〉は事物・事象が不在でも,それらについての観念を指示し惹起することができる。 実現された記号はその形式的特徴からアイコンicon(類像記号――ある対象の画像など),インデクスindex(指標記号――矢印がなんらかの対象を指示する場合),シンボルsymbol(象徴記号――約束的な記号で,その代表は自然言語)の3種に分類されることがある(C.S.パース)。また,モリスによれば,こうした記号を検討する記号論は,意味論semantics(記号と,それが指示する対象の関係。…

【指数】より

…正数aをとり,そのxaxを考えるとき,xのことをべき指数power exponent,または単に指数exponentと呼ぶ。代数学の分野では,例えば群Gの部分群Hがあるとき,その左または右剰余類の個数をHの指数indexという。また積分作用素の同一固有値に対応する一次独立な固有関数も指数と呼ばれる。…

【割出台】より

…歯車,カムを加工するために,円周を任意の数に等分割するための器具。機械式と光学式がある。機械式の多くは万能フライス盤の付属品となっている。もっとも簡単な構造のものは,同心円上に等分割された穴のある割出板が主軸にとりつけられている。割出しは,所要の割出角度に相当する穴数だけ割出板を回転し,穴にピンを入れて行う。光学式割出台は,高精度の角度測定と割出しに用いられ,精密歯車,カムシャフトの製作のため,フライス盤,研磨盤に載せて使用される。…

※「索引」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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