(読み)さばける

精選版 日本国語大辞典 「捌」の意味・読み・例文・類語

さば・ける【捌】

〘自カ下一〙 さば・く 〘自カ下二〙
① 乱れたものがなおる。もつれたものが解け分かれる。
浄瑠璃井筒業平河内通(1720)二「弁舌さばけし長口上
和英語林集成初版)(1867)「イトガ sabaketa(サバケタ)
② 割れる。砕ける。裂ける。
※幸若・高館(寛永版)(室町末‐近世初)「ふたつにざっときりわって、ゆんで、めてへさばけたり」
商品が売れてなくなる。はける。
※交隣須知(18C中か)三「分執 ワケテ トッテ ウレハ ハヤウ サバケマス」
④ 世なれていて物事に理解があり、気性がさっぱりしていて気どらない。話せる。
浮世草子好色一代女(1686)五「さばけぬ人の長座敷あくびも思はず出」

さばけ【捌】

〘名〙 (動詞「さばける(捌)」の連用形名詞化)
① 乱れたものがなおること。
② 売れること。売れゆき。
※和英語林集成(初版)(1867)「イトノ sabake(サバケ)ガ ヨイ」
③ ものわかりのよいこと。
人情本・春色籬の梅(1838‐40頃)二「実お玉もお屋敷のも素人だから、さばけがわるからふと心配して居るのサ」

さばくり【捌】

〘名〙 (動詞「さばくる(捌)」の連用形の名詞化)
① とりあつかうこと。とりはからうこと。処理すること。はからい。捌き。
※文机談(1283頃)三「管絃の御さたは御てをくだしても御さばくりなかりけり」
② もてあそぶこと。いじくりもてあそぶこと。
※謡曲・班女(1435頃)「花子と申し候ふ人は、〈略〉扇に好き朝夕扇さばくりをのみする人にて候ふほどに」

は・ける【捌】

〘自カ下一〙 は・く 〘自カ下二〙
① 水などがとどこおらずに流れ出る。
虚栄(1966)〈河野多恵子〉「地下道からはけて来る人混みの中に」
② 商品がどんどん売れて、残り少なくなる。さばける。
※歌舞伎・勝相撲浮名花触(1810)発端「そんな代物が、ナニ捌(ハ)けるものか」

はけ【捌】

〘名〙 (動詞「はける(捌)」の連用形の名詞化)
① 水などがとどこおりなく流れること。水がはけること。
② 商品が売れること。さばけること。
落語・今戸の狐(1892)〈三代目三遊亭円遊〉「一番売口の宜いのは狐ださうで、是は稲荷様(おいなりさま)の方でもはけが宜し」

は・く【捌】

[1] 〘他カ四〙 残らず売る。うりさばく。
※歌舞伎・勝相撲浮名花触(1810)発端「おれに寄越しやれ。値を好く捌(ハ)いて遣るワ」
[2] 〘自カ下二〙 ⇒はける(捌)

はか・す【捌】

〘他サ五(四)〙
① とどこおらないように流す。水などがよく流れるようにする。
② 売り尽くす。商品などを、残らないように売ってしまう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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