挟・挿(読み)はさむ

精選版 日本国語大辞典 「挟・挿」の意味・読み・例文・類語

はさ・む【挟・挿】

[1] 〘他マ五(四)〙
① 物の間にさし入れて動かないようにする。間に入れて、おさえて落ちないようにする。
※石山寺本法華経玄賛平安中期点(950頃)六「熱鉄の鉗を以て口を鉗(ハサム)で開か令む」
※尋常小学読本(1887)〈文部省〉五「狐の心付かざるやうに、尾の先きをしかとはさみて」
② 間に置く。まん中に入れる。
※大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)二「六百余里して烏仗那国に入る。蘇婆薩堵河を夾(ハサメ)り」
※落梅集(1901)〈島崎藤村利根川だより「舟は蒸気機関室を夾みて左右に客室あり」
③ 所有する。持つ。伴う。
※本福寺跡書(1560頃)大宮参詣に道幸〈略〉夢相之事「明宗は小者を一人はさまず、ふぐせが一腰なし」
日葡辞書(1603‐04)「ウマ イッピキ fasamu(ハサム) ホドノ ヒトデ ゴザル」
④ 心の一端にいだきもつ。
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中「後来(ゆくさき)の取越苦労、其中に小袖の染色、模様の工夫も挿(ハサ)みて、嬉しさ、気遣しさ、楽しさ、心元無さ」
⑤ (「耳にはさむ」の形で) 聞きこむ。
⑥ (「口をはさむ」などの形で) 人が話をしている途中に、横からことばをさし入れる。また、ことばの流れの中に他の語をさし入れる。
※筆まかせ(1884‐92)〈正岡子規〉一「他の人に向って話す時には、〈略〉今の人が『ネー』『ナー』『デス』などの言葉をはさむと」
[2] 〘他マ下二〙 (「はざむ」とも) (一)に同じ。
大鏡(12C前)一「くしげかがみの、かげみえがたく、とぐわきもしらず、うちはさめておきたるにならひて」

はさみ【挟・挿】

〘名〙 (動詞「はさむ(挟)」の連用形名詞化)
① 物の間にさしはさむこと。また、物をはさみとめることやそのもの。みてぐらなどを数えるのに用いる。
蜻蛉(974頃)上「ひとはさみのみてぐらに、かう書きつけたりけり
② =あゆみ(歩)③〔和漢船用集(1766)〕
囲碁でいう語。
(イ) カカリなどの石がヒラキを打って治まってしまわないように、両方向から攻める着手
(ロ) 自分の石に接着している相手の一子を反対方向からピッタリ接着して打つ手ハサミツケ。

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