押取(読み)おっとる

精選版 日本国語大辞典 「押取」の意味・読み・例文・類語

おっ‐と・る【押取】

〘他ラ五(四)〙 (「おっ」は接頭語)
① 急いで手に取る。勢いよく奪う。勢いよく手でつかむ。
太平記(14C後)三四「相模守自(ミづから)(わしり)下て其旗ををっ取て、切岸の前に突立て」
② わかったという様子で、相手言葉をすぐにひきとる。
※浄瑠璃・日本蓬莱山(1685頃)二「との給へば、兄の時かげをっとって『何といふ共、がてんゆかず』」
要点をとる。簡約にする。また、ある事柄をその人なりに受けとる。
※京大二十冊本毛詩抄(1535頃)一〇「正義に六借しうしたをっとっては此分ぞ」

おさえ‐と・る おさへ‥【押取】

〘他ラ四〙
財物などを差しおさえる。押え召す。
東大寺文書‐二・長治元年(1028)八月一日・伝燈大法師頼慶解状「須聞公家其裁報、致沙汰也、恣遣軍兵、令押取之条、濫吹之甚也」
② 力ずくで取り上げる。略奪する。
親元日記政所賦銘引付・文明九年(1477)二月九日「土一揆等所々打入土倉徳政質物下悉以押取間」

おっ‐とり【押取】

[1] 急の用事急場
※雑俳・歌羅衣(1834‐44)初「おっとりの差料売れる目貫場所」
[2] 〘副〙 今すぐに。急いで。
和英語林集成初版)(1867)「Ottori(オットリ) ヘンジワ デキヌ」

おし‐と・る【押取】

〘他ラ四〙 (「おし」は接頭語) むりに取る。しいて奪う。
落窪(10C後)三「天下の親にて、おのが家おしとらるる人やある」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報