心当(読み)こころあて

精選版 日本国語大辞典 「心当」の意味・読み・例文・類語

こころ‐あて【心当】

〘名〙
① 当て推量憶測見当
古今(905‐914)秋下・二七七「心あてに折らばやをらん初霜のおきまどはせる白菊の花〈凡河内躬恒〉」
源氏(1001‐14頃)帚木「心あてに、それか、かれかなど問ふなかに、言ひ当つるもあり」
② 心掛け。心がまえ。
御伽草子・秋の夜の長物語(南北朝)「偽のある世とだにも被思食(おぼしめされ)ぬ程のはかなき御心あてにて候へば」
③ (━する) 心のたよりとすること。心づもり。心だのみ。
※河越千句(1470)一「たらちねをまぼりとたのむ旅の空〈心敬〉 こころあてして帰るふる里〈道真〉」
④ ある事柄趣旨
※天草本平家(1592)序「コレラノ ギニ ツイテ サダメヲカルル ハットノ cocoroateni(ココロアテニ) ヲウジテ センサク シタル ゴトク」

こころ‐あたり【心当】

〘名〙 思い当たるふし。それと心につける見当。見込み。存じ寄り。
浮世草子傾城禁短気(1711)二「不繁昌の芝居紙札くばるやうに、心当りの客共へ〈略〉くばらるる」
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「それとも何処か外に所期(ココロアタリ)があるのかい」

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