御判物(読み)ゴハンモツ

デジタル大辞泉 「御判物」の意味・読み・例文・類語

ごはん‐もつ【御判物】

判物はんもつ

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精選版 日本国語大辞典 「御判物」の意味・読み・例文・類語

ご‐はんもつ【御判物】

〘名〙 (「ご」は接頭語)
中世将軍武将または大名が、自署花押して出した文書武家に対する知行安堵(あんど)、宛行(あておこない)、その他重要な政治向の命令を発するときに用いられた。特に、室町将軍の出したものは、「御判の御教書(みぎょうしょ)」などともいわれ、重視された。御判。
上杉家文書‐(年月日未詳)(15C中)上杉長棟(憲実)相伝重書入日記「鹿苑院殿御判物二通」
② 江戸時代、将軍の花押のある文書。朱印状、黒印状より重視され、たとえば、幕府が大名に所領を与える場合、一〇万石以上のときは御判物、一〇万石未満のときは朱印状を用いた。また、大名の花押のある文書にもいった。ごはんもの。
御触書寛保集成‐一三・宝永七年(1710)一二月「一、御代々之御判物御朱印所持之面々は」

ご‐はんもの【御判物】

護持院原敵討(1913)〈森鴎外〉「九郎右衛門、りよは天保五年二月に貰った御判物(ゴハンモノ)を大目附に納めた」

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世界大百科事典(旧版)内の御判物の言及

【判物】より

…類似の名称が付けられる文書に,書下(かきくだし),直書(じきしよ)(直状)あるいは書状があり,時代により文書により,名称(文書名)のつけかたに多少の混乱がある。室町時代に,足利将軍の花押のある文書を当時〈判物〉とか〈御判物〉と呼ぶようになり,戦国時代になって判物の呼称が一般化した。近年の代表的見解の一つとして相田二郎は〈戦国時代に至り,諸大名のものにして特殊な名称を以て呼ばないものをおしなべて判物と称しておけば,先ず当時一般に用いていた文書の名称に適合するであろう〉といい,佐藤進一は〈これらの守護・領主・大名らの発給した直状は,戦国時代には直書とか判物と呼ばれた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」