引括(読み)ヒッククリ

デジタル大辞泉 「引括」の意味・読み・例文・類語

ひっくくり【引括】

狂言。うるさい妻を離縁しようとした男が、離別のしるしになんでもやると言うと、妻は夫の頭に袋をかぶせてひっくくり、これが欲しいと引いて行く。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「引括」の意味・読み・例文・類語

ひっ‐くく・る【引括】

〘他ラ五(四)〙 (「ひきくくる」の変化した語)
① ひもなどでしばる。ひきくくる。また、人などを捕えてしばる。捕縛する。
史記抄(1477)三「嚢括は嚢の口をひっくくるなりぞ」
物事のしめくくりをする。結論を出す。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ まとめてくくる。ひとまとめにする。
※両足院本山谷抄(1500頃)六「此人の智━は天下をも入れてひっくくりつべいぞ」

ひっ‐くくり【引括】

[1] 〘名〙 ひっくくること。また、ひっくくるもの。
俳諧・新続犬筑波集(1660)一八「袋きくといふきくを ふくろきくや花のとぢめのひっくくり〈よみ人しらず〉」
[2] 狂言。各流。気が強くて口うるさい妻を離縁しようとした男が、妻に離別のしるしを要求され、何でも持っていけという。すると、妻は私のほしいものはこれだと言って、袋を夫の頭にすっぽりとかぶせてひっくくり、引っぱっていく。狂言記では、「暇(いとま)の袋」。

ひっ‐くる・める【引括】

〘他マ下一〙 ひっくる・む 〘他マ下二〙 (「ひきくるめる(引括)」の変化した語) 一つにまとめる。一括する。
※談義本・根無草(1763‐69)前「西施がまなじり、小町が眉、〈略〉衣通姫衣裳の着こなし、ひっくるめたる此姿」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「統括(ヒックル)めて云へば」

ひっ‐くる・む【引括】

[1] 〘他マ五(四)〙 (「ひっ」は接頭語) 一つにまとめてくるむ。一括する。
狂歌・大団(1703)三「しら雪にひっくるむだるふじの山あまり見事で折に見するか」
[2] 〘他マ下二〙 ⇒ひっくるめる(引括)

ひき‐くく・る【引括】

〘他ラ四〙 物のまわりを強くひもなどで縛る。くくる。ひっくくる。
今昔(1120頃か)一六(あぶ)を、手を捕へて腰を此の藁筋を以て引き括りて持たるに」

ひき‐くる・める【引括】

〘他マ下一〙 ひきくる・む 〘他マ下二〙 =ひっくるめる(引括)
滑稽本・当世真々乃川(1785)二「万巻仏経を、南無六字に引(ヒキ)くるめて」

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