精選版 日本国語大辞典 「引上・引揚」の意味・読み・例文・類語
ひき‐あ・げる【引上・引揚】
[1] 〘他ガ下一〙 ひきあ・ぐ 〘他ガ下二〙
① 引いて上に上げる。ひっぱって高いところに移す。
※古事記(712)上(道祥本訓)「塩許袁呂々々々邇〈此の七字は、音を以ゐる〉画鳴(かきなしし)〈鳴を訓みて那志々と云ふ〉て引上(ヒキアクル)時」
② 日時をはやめる。時間を繰り上げる。
※大日経義釈延久承保点(1074)一〇「引(ひキ)上(アケ)て斉に当てしむ」
③ 選んで目をかけて用いる。登用する。
※浮世草子・世間胸算用(1692)五「世はなげくまじ又引あぐる神も有て」
④ 取り上げる。没収する。他にまかせておいたものを取りもどす。
⑤ 程度をはなはだしくする。
※滑稽本・和合人(1823‐44)四「釜屋の酒がまだ醒めねへところへ此処でやらかしたから酔を引上(ヒキア)げて」
⑥ 価格や比率を高くする。
⑦ 検挙する。
⑧ 軍勢を退かせる。
[2] 〘自ガ下一〙 ひきあ・ぐ 〘自ガ下二〙
① その場所から退去して他に移動する。撤退する。立ちのく。
ひき‐あげ【引上・引揚】
〘名〙
① ひっぱって上にあげること。
② 程度や値をより高いものにすること。
③ 日時を繰り上げること。
※師郷記‐文安元年(1444)三月二四日「今日於二東福寺一、虎関和尚百年忌仏事致二沙汰一云々。明年当レ之。然而引上沙二汰之一云々」
④ 軍勢を率いてもどること。
※暁月夜(1893)〈樋口一葉〉「賊を討ち大功をなして此画は引上(ヒキアゲ)の処」
⑤ いままでいたところをひき払って、もといたところにもどること。また、居住していた外国から故国に帰ること。
※姫岩(1948)〈田村秋子〉二幕「復員、引揚げ、疎開の人間と」
⑥ 産婦を介抱して産児を取り上げること。取り上げ。
⑦ 政府が民間から現金を受け入れること。
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