市川猿之助(3世)(読み)いちかわえんのすけ[さんせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「市川猿之助(3世)」の意味・わかりやすい解説

市川猿之助(3世)
いちかわえんのすけ[さんせい]

[生]1939.12.9. 東京
[没]2023.9.13. 東京
歌舞伎俳優。屋号澤瀉屋(おもだかや)。本名,喜熨斗政彦(きのしまさひこ)。「スーパー歌舞伎」と呼ばれる娯楽性豊かな作品で人気を博し,さまざまな層のファンを獲得した。
歌舞伎俳優の 3世市川段四郎と映画女優の高杉早苗長男として生まれる。2世市川猿之助(1世市川猿翁)の孫。1947年1月東京劇場『二人三番叟』(→三番叟)の附千歳(つけせんざい)で 3世市川團子を名のり初舞台。1962年慶應義塾大学国文科を卒業。1963年5月歌舞伎座『鎌倉三代記』で三浦之助,『吉野山』で忠信,『黒塚』で鬼女などを演じ,3世市川猿之助を襲名。1968年4月国立劇場『義経千本桜』の「川連法眼館(かわつらほうげんやかた)」において宙乗りに挑み,けれんの芸を復活させた。その後も古典作品の新演出や創作に積極的に取り組み,1986年には「スーパー歌舞伎」と銘打ち,宙乗りや早替り,立廻りを駆使した『ヤマトタケル』を発表,絶大な人気を得た。海外公演やワークショップなど歌舞伎の普及活動を意欲的にこなし,オペラミュージカルなどの演出も手がけた。2000年には宙乗り 5000回を達成し,ギネス認定。2012年,2代目市川猿翁を襲名。1987年松尾芸能賞大賞,1989年芸術選奨文部大臣賞を受賞。2000年紫綬褒章受章。2010年文化功労者選定。

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