差込・指込・挿込(読み)さしこみ

精選版 日本国語大辞典 「差込・指込・挿込」の意味・読み・例文・類語

さし‐こみ【差込・指込・挿込】

〘名〙
① 差し込むこと。中へ物を差し込むこと。差し込んでくること。また、そのもの。
※俳諧・猿雖自筆懐紙(1694)「はこばす道具そろそろ置直し〈土芳〉 日のさし込にすずめ来て鳴〈素牛〉」
② 脇から口出しをすること。入れ知恵をつけること。
浄瑠璃・心中重井筒(1707)中「皆おかさまのさしこみと思ふも地体(じたい)こちの無理」
③ 花模様などを、差し込んで取り付けるようにした飾り物。また、それをつけた簪(かんざし)
※評判記・色道大鏡(1678)三「又は鬢頬(びんづら)、又はうなじなどにさしこみをかろくさしなしたる」
④ 「さしこみプラグ(差込━)」の略。また、コンセントのこと。差込み口。
美徳のよろめき(1957)〈三島由紀夫〉一一「同じ差込みから通じてゐたラヂオも扇風器も忽ちとまり」
⑤ 幸便に託して書状を送ること。〔随筆守貞漫稿(1837‐53)〕
⑥ 胸や腹などの突然の激しい痛み。癪(しゃく)
洒落本・風俗通(1800)一「『でらち明ません』〈略〉『とかく毎日さしこみが強くて』」
花柳界で、姉芸妓が妹芸妓を一座に招くこと。
⑧ 茶屋を介しないで、直接女郎屋などに行くこと。
※洒落本・弁蒙通人講釈(1780)「中三かいのさしこみでも参られますまゐから」
⑨ 置屋・茶屋で、芸娼妓を指名して客に勧めること。売り込み。
談義本・つれづれ睟か川(1783)五「廻漢(まはし)さしこみにあるけば、牽頭(たいこ)付込(つけこみ)に廻る」
⑩ 客が芸娼妓を名ざしで呼ぶこと。
※洒落本・くたまき綱目(1761)「期(ご)よりさし込(コミ)呼はさながらおそろし」
⑪ (指込) 将棋で、同じ相手と何番か指し続けて一方が四番負け越したときに「手直り」をする制度。四番手直りともいう。
接吻をいう俗語
※いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉一「商売女が客には許さないサシコミ(接吻。サシミより下品な隠語)を」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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