巣立(読み)すだつ

精選版 日本国語大辞典 「巣立」の意味・読み・例文・類語

す‐だ・つ【巣立】

[1] 〘自タ五(四)〙
① 鳥が成長して親の巣を去る。
万葉(8C後)二・一八二「鳥(とぐら)立て飼ひし鴈(かり)の子栖立(すだち)なば檀(まゆみ)の岡に飛び帰り来ね」
② 親もとを離れ、または、学業を終えて社会に出る。
学問のすゝめ(1872‐76)〈福沢諭吉〉一七「同塾同窓の懇意にても塾を巣立ちたる後に、一人が町人となり」
[2] 〘他タ下二〙
親鳥ひなを養い育てて、巣から飛び立たせる。
※元輔集(990頃)「はぐくみて君すだてずはつるのこのくもゐながらや千よをしらまし」
② やしなう。扶養する。
※ぎやどぺかどる(1599)上「面々其身を巣立んが為に、次第をただしく定め給へば」

す‐だち【巣立】

〘名〙
自力で生活できるようになった若鳥が巣を去ること。巣離れ。《季・春》
※高遠集(1011‐13頃)「すたちするむらきみだにもみえぬよはみぎはのとりをおふ人もあらじ
俳諧・続虚栗(1687)春「巣立より笹ふみたゆむ雀かな〈舟竹〉」
② それまで親、学校などの庇護のもとにあった者が、一人前人間として独立すること。巣離れ。
浄瑠璃神霊矢口渡(1770)跋「今をはじめの作者の巣立」

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