朝日日本歴史人物事典 「岡十郎」の解説
岡十郎
生年:明治3.6.29(1870.7.27)
明治大正期,捕鯨業の近代化に貢献した実業家。捕鯨王とよばれた。山口県阿武郡奈古の西村利衛門の5男。のち同郡福井村の岡吉輔の養嗣子となる。慶応義塾に学び,福沢諭吉の教示を得て水産業の発達に志を抱く。朝鮮近海で操業するロシア太平洋捕鯨会社の活躍に刺激され,わが国で初めてノルウェー式捕鯨技術を導入,明治32(1899)年に山口県大津郡仙崎に日本遠洋漁業株式会社を興した。同社は東洋漁業,東洋捕鯨と社名を変更しながら捕鯨独占資本として発展を遂げ,現在の日本水産株式会社の基礎を築き上げるなど,漁業における資本主義発達の牽引力となった。また,渋沢栄一,浅野総一郎らとメキシコ漁業調査会を組織してその会長となり,南米チリ政府に招聘されて,同国沿岸の漁業調査を行うなど海外漁場開発にも活躍。<参考文献>石田好数『日本漁民史』
(石田好数)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報