山梨郷(読み)やまなしごう

日本歴史地名大系 「山梨郷」の解説

山梨郷
やまなしごう

宇刈うがり丘陵の南西裾野、太田おおた川と宇刈川に挟まれた現上山梨・下山梨を中心とした一帯に比定される中世の郷。血脈衆(乾坤院蔵)によれば、文明一二年(一四八〇)乾坤けんこん(現愛知県東浦町)授戒会に「山梨郷一斗」の引によって正晴が参列している。同一六年一一月一日の別本如光弟子帳(上宮寺蔵)に、「遠州月見里 道敬」がみえ、三河国上宮じようぐう(現愛知県岡崎市)門徒であった。

山梨郷
やまなしごう

和名抄」東急本は「也万奈之」の訓を付し、高山寺本は訓を欠く。山梨西郡の一つ。現東山梨郡春日居かすがい鎮目しずめ山梨岡やまなしおかの遺称があり、「延喜式」神名帳に記載される山梨郡「山梨岡ヤマナシヲカノ神社」を同地に鎮座する山梨岡神社に当てる説が有力である。郷域は現春日居町一帯から山梨市西部にかけてと推定され、郡家の所在郷であるとの説が従前より支持されている。

鎮目地区には御室山みむろやま古墳笹原塚ささはらづか三号墳などの積石塚古墳や、銅鋺馬具などを伴出した寺の前てらのまえ古墳・狐塚きつねづか古墳など、後期古墳が集中している。同町寺本てらもとには県内最古の寺院跡である寺本廃寺があり、その出土瓦や遺構の特色から白鳳期の創建であるとみなされ、郡家に伴う寺(郡寺)か、有力豪族による氏寺ではないかと推定されている。

山梨郷
やまなしごう

「和名抄」所載の郷で、同書高山寺本など諸本とも訓を欠く。「旧事本紀」天孫本紀に饒速日命の一〇世孫の物部印波連公の姉として物部山無媛連公がみえており、当郷が印旛いんば郡に隣接すること(寛永期に印旛郡に編入される)、また千葉郡に物部ものべ郷があることなど、当郷がその勢力下にあったと想定する説がある(日本地理志料)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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