居待月(読み)イマチヅキ

デジタル大辞泉 「居待月」の意味・読み・例文・類語

いまち‐づき〔ゐまち‐〕【居待(ち)月】

《やや遅く出るので座って待つ月の意》
[名]陰暦18日の月。特に、陰暦8月18日の月。居待ちの月。 秋》「わが影の築地にひたと―/立子」→立ち待ち月寝待ち月
[枕]居待ち月が明るいところから、「明かし」「明石」にかかる。
「―明石のゆは」〈・三八八〉
[類語]月輪夕月立ち待ち月寝待ち月残月有明の月新月三日月上弦下弦弦月弓張り月半月満月望月明月名月春月朧月寒月

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精選版 日本国語大辞典 「居待月」の意味・読み・例文・類語

いまち‐づき ゐまち‥【居待月】

[1] 〘名〙 (少し遅れて出るので、すわって待つところから) 陰暦一八日の月。一説に、一七日の月とする。季語として特に八月一八日の月をいう。居待ちの月。居待ち。→立待ち月寝待ち月。《季・秋》 〔八雲御抄(1242頃)〕
[2] 月が明るいというところから同音の明石(あかし)にかかる。
万葉(8C後)三・三八八「座待月(ゐまちづき) 明石の門ゆは 夕されば 潮を満たしめ 明けされば 潮をかれしむ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「居待月」の意味・わかりやすい解説

居待月
いまちづき

陰暦18日の夜の月。『万葉集』に「座待(いまち)月」とあるように、この夜の月の出は遅く、座してその出を待ったところから出た名という。限定的には、とくに仲秋の名月に続く陰暦8月18日の夜の月をいい、和歌俳諧(はいかい)に多く詠まれている。「座待月明石(あかし)の門(と)ゆは 夕されば潮を満たしめ 明けされば潮をかれしむ」(『万葉集』3、作者不詳)とあるように、この夜の月は明け方近くまで明るいところから、「明(あ)かし」と同音の「明石」に掛かる枕詞(まくらことば)としても用いられている。

[宇田敏彦]

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