小淵村
こぶちむら
[現在地名]春日部市小渕
不動院野村の西に位置する。村の西側を古利根川が流れる。葛飾郡幸手領に属した（風土記稿）。日光道中が通り、下総国関宿（現千葉県関宿町）へ向かう道を分岐する。この分岐点の手前江戸寄りの所に日光道中の一里塚があった。田園簿では田二六六石余・畑二三七石余、ほかに野銭永一五〇文があり幕府領。ほかに浄春院領の朱印地一〇石がある。元禄八年（一六九五）武蔵国幕府領総検地の一環として検地が行われた（「風土記稿」など）。その後まもなく村の一部が旗本酒井氏に与えられ相給となり、以後寺領を除き幕末まで変わらなかった（「寛政重修諸家譜」「風土記稿」など）。
小淵村
おぶちむら
[現在地名]藤野町小淵
相模川上流左岸、段丘上に位置し、東は吉野村、西は甲州上野原村（現山梨県北都留郡上野原町）、南は名倉村、北は沢井村・佐野川村に接する。甲州道が東西に通り、村内に関野宿がある。永正一七年（一五二〇）三月二五日付旦那譲状（熊野那智大社文書）に「相州奥三保之事」として「日向六ケ村」の一つ「小淵村」がみえる。小田原衆所領役帳に「小淵之村、敵知行、半所務」として、「三貫三百卅二文 中村隼人佑、三貫三百卅二文 同帯刀左衛門、此外三貫三百卅二文 大和守所務是ハ此乱中有境走廻付而大和守出置之中村帯刀左衛門、以上拾貫文」とある。
小淵村
おぶちむら
[現在地名]鳩ヶ谷市
坂下町一―三丁目・
南一―三丁目・
三ッ和 辻村の東、鳩ヶ谷町の南に位置し、低地の村。西側を日光御成道が南北に、ほぼ中央を千住（現東京都足立区）へ至る道が東西にそれぞれ通る。古くは鵜が多くすむ湿地であったことから鵜淵と称していたが、その後小淵と改めたという（風土記稿）。元亀三年（一五七二）正月九日の北条家印判状（豊島宮城文書）に「小淵」とみえる。田園簿によると田一六二石余・畑九七石余。江戸時代を通じて幕府領であったと思われる（同書・改革組合取調書など）。
小淵村
おぶちむら
[現在地名]神埼町大字的字小渕・的
仁比山村の南、城原川の東岸で山麓地帯にある。正保絵図に村名がみえる。天明三年（一七八三）の郷村帳には「石道」の別称を記している。天保七年（一八三六）の御祓配帳（仁比山神社蔵）によると戸数は六三。嘉永六年（一八五三）写の大小配分石高帳によれば、納富又次郎が地米（年貢）高一五〇石で最高の知行士である。
村内に宝永五年（一七〇八）施主を鍋島石雲とし開山が長霊という黄檗宗如意山宝珠寺、明暦二年（一六五六）宗雲の創立という浄土真宗本願寺派の日吉山光蔵寺がある。また村内の六本松には広門神社跡がある。すぐ南に広門溜池の名称が残り、宝珠寺に広門大明神の石碑があり、八天山にある下宮の東石段の上に鳥居が残る。
小淵村
おぶちむら
[現在地名]加茂町小淵
加茂川左岸に位置し、東は知和村、西は塔中村、南は公郷村・桑原村、北は青柳村に接する。正保郷帳に高二一一石余、うち田方一九一石余・畑方一九石余とある。元禄一〇年（一六九七）の美作国郡村高辻帳では改出高七三石余・開高三七石余。「東作誌」の本田畑高二八五石余・新田畑高三七石余・新開田畑高九石余で、家数二八・人数一四七。天保九年（一八三八）の村明細帳（鍋島文書）では田方一九町八反余・二八五石余、畑方四町二反余・四六石余で、家数二七・人数一二七、牛一九。
小淵村
おぶちむら
[現在地名]美山町大字小淵
大野一〇ヵ村の一。由良川上流沿岸に位置する山間集落。川の上流は肱谷村、下流対岸は向山村、北は山を越えると音海村。古代は「和名抄」に記す弓削郷に属し、中世は野々村庄の地。
慶長七年（一六〇二）幕府領、元和五年（一六一九）より丹波篠山藩領となる。元禄一三年（一七〇〇）丹波国郷帳、天保郷帳ともに記載なく、旧高旧領取調帳に村高一三六・二四五石とあり、江戸時代末期に音海村より分離、独立村となったものと思われる。
小淵村
こぶちむら
[現在地名]阿仁町小渕
北西流して阿仁川中流に注ぐ小様川左岸山地の西麓に位置し、集落の西を阿仁川が北流。「梅津政景日記」慶長一九年（一六一四）八月一五日条に、伐木のため山に入る百姓の腰米取締りに関して「風張・小淵・前田・小又・こみ堀之肝煎所に使を差越」とみえる。集落を北西方向に見下ろす山地上に中世後期の館が現存、複郭性平坦面と二条の空堀を残す。通称高田城とよび、高田右馬之丞・雅之丞・三郎右衛門が居城、戦国末期吉田の風張城主に攻められ敗北したという（阿仁合郷土誌）。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
