くわばら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「くわばら」の意味・わかりやすい解説

くわばら
くわばら / 桑原

落雷を避けるための呪文(じゅもん)。雷鳴のするときに「くわばら、くわばら」と唱えると、雷除(よ)けになるとされる俗信で、転じて桑の木にもその力があるとされた。起源については、908年(延喜(えんぎ)8)菅原道真(すがわらのみちざね)の霊が雷電となって京都をたびたび脅かした際、かつて道真の所領であった桑原の地には一度も落ちなかったことに始まるという説や、和泉(いずみ)国に桑原という所があり、あるときそこの桑原井という井戸に雷が落ち、村人たちが蓋(ふた)をして閉じ込めたので、雷は「以後けっしてここには落ちない」と約束して天に帰ったのによる、などの説が知られる。

[宇田敏彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のくわばらの言及

【雷】より

…同じ話が謡曲では《雷電》の一番となっている。雷のときに〈くわばら,くわばら〉と唱えごとをすると落雷が避けられるという言い伝えがあるが,これも菅公に関係がある。京都の桑原という所はむかし菅公の邸のあった所で,ほうぼうに落雷があったのに,この桑原には一度も落ちず,雷の災を受けなかったということである。…

※「くわばら」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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