小原別符(読み)おばるべつぷ

日本歴史地名大系 「小原別符」の解説

小原別符
おばるべつぷ

現下小原・上小原・岡崎おかさき辺りに比定される。建仁三年(一二〇三)一一月一〇日の島津庄政所下文(肝付文書)に「小原別府」とみえ、前地頭島津忠久により押領された同別府弁済使得分米を、義広の沙汰として京都に運上させ、弁済使職の由緒については早く参上して訴えるよう命じられている。同下文は島津忠久が比企氏の乱に縁座して島津庄惣地頭職を改易されたことに対応したもので、大隅国建久図田帳に小原別符はみえないものの、島津庄寄郡の一つであったと考えられる。建武新政期島津庄寄郡下大隅方に属する当別符や串良院などは中宮職領となり、建武二年(一三三五)一〇月七日島津貞久が預所職に補任された(「太政官符」島津家文書)。南北朝内乱期に島津庄大隅方寄郡の多くは実質的に島津氏支配下に繰入れられていったようであるが、小原別符は観応元年(一三五〇)六月二四日の上書のある島津庄大隅方寄郡田数注文(旧記雑録)には島津道鑑(貞久)拝領九ヵ所のうちの寺社寄付分として小原別符二三町三反三丈が記され、貞和二年(一三四六)三月日「当国大智寺寺院興行料所」に寄進されていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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