定免法(読み)じょうめんほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「定免法」の意味・わかりやすい解説

定免法
じょうめんほう

検見法(けみほう)と並び江戸時代を代表する徴租法の一つ。一村ごとに過去数か年の年貢の平均を算出し、これをもとに相応の年貢高を決定し、3か年・5か年・10か年などの一定期間、作柄豊凶にかかわりなく徴収する方法。ただし大凶作の際は、村からの出願に基づき検見を行い、減免破免)の措置がとられた。この徴租法は、江戸前期からみられたが、享保(きょうほう)の改革(1716~45)において幕府に採用され、全国の幕領で施行されるところとなり、年貢増徴に大きな役割を果たした。しかしこの徴租法は生産力の発展に即応できるものではなかったため、農民の手元に余剰を残す条件ともなっていった。

大石 学]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「定免法」の解説

定免法
じょうめんほう

江戸時代の徴租法の一つ。過去数年間の年貢の平均高を算出し,その高を3カ年,5カ年,10カ年などの一定期間,作物の豊凶にかかわりなく年貢として徴収する。ただし大凶作の年には,願いによりとくに検見(けみ)を行い減免されることもあった。毎年の作物の出来高を調べ,その年の年貢率をきめる検見取法に対する方法。江戸前期からすでにみられたが,享保の改革の際,年貢増徴政策の一つとして採用,1722年(享保7)以降しだいに全国各地で施行された。代官や手代の専行不正を防止する一方,年季切れの際に免率を引きあげることによって年貢徴収量を増大させようとする意図ももっていた。

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百科事典マイペディア 「定免法」の意味・わかりやすい解説

定免法【じょうめんほう】

検見法(けみほう)に対する江戸時代の徴税法。過去数年間の平均収量を基準にして一定期間の貢租を豊凶にかかわらず定額にする方法。幕府は享保改革に際し収入増大を図るための安定政策として採用し,全国にも普及した。施行当初は農民負担が増大し農村の荒廃も目立ったが,生産力の上昇により農民に剰余が残ることが可能となった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「定免法」の解説

定免法
じょうめんほう

江戸時代の貢租徴収法
代官の不正などの検見 (けみ) 法の弊害や不便を避けるため,過去数年ないし十数年の取米平均で租率(免)を定め,一定期間豊凶の別なく,定率で納めさせたが,年貢率が引き上げられる傾向があった。ただし期間中でも大凶作のときは検見を行い減免した。享保期(1716〜36)以降普及。

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